妻が「へへ、これどうかな?」と冷蔵庫から持ち出してきたのはアイスクリーム。
ところがそれを一口食べたとたんに、「うっ…、違った…」と顔をゆがめました。
どうやら今まで食べたことのない味のアイスクリームを買ったようで、それが思ったのとは違った味だったようです。
「一口食べてみる?」
「お、おお…、(パク…)うおー」
妻が食べたのは"ジャスミンミルクティー味"のアイスクリームで、一口食べると口の中にジャスミンの香りが広がりました。
ジャスミンと言うと私のイメージはお風呂に入れる入浴剤のバスクリンです。
もちろん味には好みがありますが、どうやら妻にも私にもイメージが違ったようです。
妻は、「うーん…、リぴなしかなぁ」とちょっとがっかりした様子。
それを見てどう声をかけるべきか。
その瞬間、私には二つの選択肢がありました。
一つ目は「こんな目新しさだけで食べたことのないアイスを買ってるの!冒険しすぎでしょうが」という文句モード。
二つ目は「良かったじゃん、一度試せばどんな味かわかるから次に選ぶかどうかの参考になるでしょ。なんでも経験すりゃいいんだよ」という称賛モード。
もちろん私の口から出たのは二つ目の選択肢でした。
知らないことはやってみて経験すればよい。
そうして初めて新しい世界が広がるはずです。
世の中にこういう味のアイスクリームがあると初めて知りました。
◆
先日実家へ行ったときに、母が苦笑いしながら「いやあ、本当に疲れるよ」とぐったりした感じで話し始めました。
「この間、部屋の中が暑くて、お父さんと『暑いねえ』と言って窓を開けたりしていたんだよ。なんでこんなに暑いのかと思ってふと見ると、エアコンが暖房でつけてあるのさ。爺ちゃんが何の気なしにスイッチを入れるんだね」
「ありゃりゃ、認知症が進んできているから仕方ないのかね」
「もう暑いということがわからなくて、すぐ寒い寒いって言うしさ。寝室にっても、暖房ファンのスイッチを入れるのが癖になっているのさ。今なんか元の暖房のスイッチを切っているから暖かい風は出ないんだけど、もう訳が分からないんだよ」
私からのアドバイスは、「うーん、もう口で言っても覚えてないんだから、スイッチに"つけちゃダメ"と書いた紙でも貼って、そのたびにダメなことを伝えるしかないんじゃないかい?」というものでした。
母は「うーん、そうかねえ」とあまり本気にはなってくれませんでしたが、要は父がだんだん今まで予想もしなかった行動に出ることが増えた、ということです。
母はまだ昔の父を思い出して、言葉で伝えようとするのですが今の父にはもうそれを覚えている力はないようです。
それを前提にした対応が必要だと思うのですが、そういうことは普段から一緒に住んではいない者のたわごとでしかないのかもしれません。
一緒に住んでいるともっと大変だったり気を遣うことが多いのかもしれませんしね。
新しい経験と言っても、父との暮らしでは対応の難しいことが増えてすます大変になってきそうなのが怖いところ。
母の衰えも気になります。
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