北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

残間さん、しばしのお別れです ~ 病棟からの最後のラジオ

2019-03-13 23:58:50 | Weblog

 

 病院の緩和ケア棟に入った野遊び師匠の残間さんは、病棟からラジオ放送に出演するという前代未聞の試みをやってのけました。

 札幌のコミュニティFMである「FMアップル」で、残間さんが登場するのは、毎週水曜日の15時から15時30分の「ぶら~り地球散歩、ときどき野遊び」ですが、残間さん本人も「本当は先週で終わりかな、と思ったけれど、今日が最後の放送だね」という覚悟の登場で、今日はスタジオのライブ中継がyoutubeでも行われました。

 開口一番、「今日のテーマは泣ける話。笑いはなしよ」と言いながらも、パーソナリティの村形潤さんとのいつもと変わらない会話で始まりました。

「もう終わりが目前なんだけど、やることを全部やっちゃったから、もうこれ以上やり残したことがないのよ。これでいいのかなあ、と思うくらい」

「半年前に、ガンが見つかって取り除くこともできずに余命を過ごす、ということを公表してから、僕の周りの人たちも変わったよ。それまでは『俺がいないとだめなんだ』と思っていたけれど、今や結束が固まって、そうじゃなくなった。もう僕がいなくても大丈夫になったね」

 今やラジオ放送は、ネットを介して聞くことができるので、メッセージが東京や全道各地、果てはブラジルからも届いて、残間さんはそのたびに「おー!うれしいな」と喜んでいました。

「釣りはさ、みんな魚を釣ろうとして、何匹釣った、何センチの魚を釣ったっていう、あさましい釣りをするよね。でも僕は世界を旅したときに、その町の片隅のパブにフライロッドを抱えて行くんだ。そうして寂しそうな顔でもしていたら、周りに絶対一人くらいはフライフィッシングをする人がいる。そうして、そんな東洋人に『どうしたんだい?』って絶対に話しかけてくれる人がいる。本当の釣りはさ、魚じゃない、人を釣るんだよ。俺たちもラジオで人を釣ろうね(笑)」

「ここに入院してから10日になるんだけど、この間に見まいに来てくれた人が200人くらいになったよ。みんな釣りを通してつながった人ばっかりだよ」

「僕の生きざまも、良しと思うか悪しと思うか、参考になるかならないか、なんて人それぞれだもんね。ただジャーナリストとしては、やっぱり伝えたいな」

 最後に村形さんから、「残間さん、ラジオを聴いている方に、メッセージをお願いします」と振られて、残間さんは、「そうだなあ…、『自分を信じる』かな。自分を信じて、道を選ぶときには一つを選ぶ。選んだからには最後まで自分が責任を取る。そうしたら絶対失敗しないよ。残間イズムはこれかな」と言いました。

 でもその後で、ポツリと、「これからも出会いを大事にしようよね」と一言。
 
 結局残間さんが最後まで言いたかったのは、このことだったのかな。

「小松さん、魚なんか釣ってちゃダメだって言ったでしょ。人は釣れたかい、はっはっはー」

 次に会ったら、そう言われるんだろうなあ。

 残間さん、しばらくのお別れです。
 
 いつか次に会った時には、これから先の僕の釣果の話を聞いてください。

 さようなら。
 

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