疫病と言われて思い出すのは、「蘇民将来の子孫なり」という言葉です。
掛川にいたときに、藤枝市の旧家を訪ねたところ玄関の上にこの言葉が書かれたお札が貼られていました。
蘇民将来の話は8世紀前半に作られたであろう「備後国風土記」に書かれていたらしく、そのことが鎌倉時代の『釈日本紀』に「備後国風土記逸文」として書かれているものです。
お話は、武塔神(スサノオノミコトと同じか)という神様が結婚のために旅をして、日が暮れたのでどこかに泊めてもらおうと思いました。
そこでまず弟の「将来」宅を訪ねて見ましたが、弟将来は裕福なのにもかかわらず家を貸さず、貧しい兄の方は栗飯を炊いてもてなしました。
年を経て武塔神は8人の子供たちとともに再びこの地を訪れて、蘇民将来に「住んでいる娘に茅の輪を腰につけさせよ」と言い、弟将来とその一族を皆殺しにしてしまいました。
武塔神は「速須佐雄(ハヤスサノオ)の神なり。後の世に疫気あったならば『蘇民将来の子孫』と言って茅の輪を腰に付けた者は逃れられるだろう」と言って立ち去った、とのこと。
この説話から、悪い病気が流行したら厄除けの呪文として「蘇民将来の子孫なり」と唱え、護符にはそう書かれているのです。
護符は紙だけではなく木に描かれたものもあります。
疫病というと正体がわからなくて恐ろしいものですが、今日ではその正体がわかるようになりながらもやはり疫病は恐ろしいものです。
幸い、神頼みしかできなかった時代から、今では手を洗ったり危ないところには近づかないようなやればできることがはっきりする時代になりました。
できることをまずはしっかりして、この疫病から逃れましょう。
北海道には、蘇民将来の護符をいただけるところはあるのかな。
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