駒子の備忘録

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『ボニー&クライド』

2012年01月21日 | 観劇記/タイトルは行
 青山劇場、2012年2月20日マチネ。

 1930年代、大恐慌時代のアメリカ・テキサス州の田舎町。ボニー・パーカー(濱田めぐみ)はカフェで働きながらハリウッドの映画スターになることを夢見ている。そこへやってきたのが脱獄したばかりのイカした男クライド・バロウ(田代万里生)。ふたりは互いに一目見て恋に落ち、クライドはボニーに輝く未来を手に入れるプランを打ち明ける…
 作/アイヴァン・メンチェル、作曲/フランク・ワイルドホーン、作詞/ドン・ブラック、上演台本・演出/田尾下哲、訳詞/小林香。
 2011年ブロードウェイ初演の日本初演。ほぼ同時に進行したため、BW版とはかなり異なっている。

 劇団四季退団後第一作となる濱田めぐみがさすがに絶品で超キュート。パンチのある歌声も健在でのびのびと歌い聞かせ、耳福でした。
 ただ、『GOLD』でも思ったけれど、ワイルドホーン作品って結局ミュージカルというよりオペラに近い。ダンスナンバーはほとんどないしリプライズもまずないし、楽曲が多彩なのはいいんだけれど結局馴染みなくて耳滑りするものがただ並べられているように感じてしまうのです。
 そしてその楽曲が多い分話はなかなか展開しないので、冗長に感じるときがあるんですよね…オペラだとわりきって観劇すればまた違うのかも、ですが。
 ピカレスク・ロマンというよりは、まだまだただのティーンエイジャーだったふたりが、偶発的に犯罪を犯すようになった…というふうに描かれてはいますが、だからといって決して明るい話でもラブとドリームとハッピーがつまった作品でもなく、まあ観ていてなかなかしんどかったです。
 それから考えると『凍てついた明日』はがんばっていましたよね…

 クライドの兄嫁ブランチ役の白羽ゆりが美しすぎてスタイルが良すぎて震撼。歌も演技もよかったです。信仰厚い貞女、というイメージなのかもしれませんが、ごくごく普通の良識的な女性ってことですよね。そのナチュラルさが良かった。
 逆にクライドの兄バロウ(岡田浩暉)にはイライラさせられたわー。イヤそれだけキャラが立っているということなのですが。弟の金魚の糞で、自分では何もできないくせに弟にくっついて回るしょうもない甘ったれの長男坊…母親(明星真由美)が泣くよそりゃ…

 他には牧師役でゴスペルを朗々と聴かせたつのだ☆ひろがさすがでした。
 テッドはダブルキャストでこの日は藤岡正明。泣かせるバラードを聞かせてくれました。

 しかしこの「有名になりたい」という病理はなんなのでしょう。
 有名になった人はみんな、何かを成し遂げて、結果的に否応なく有名になってしまったにすぎないのに、そういうことをみんなすっ飛ばしてただ「有名になりたい」と言う若者は多いものですが…
 それで思ったのが、脱線かもしれませんが、「ザ・インタビューズ」というネットサービス?みたいなもの。
 登録すると、登録している人に匿名で質問ができる。自分のところにも、誰からされているのかはわからないけれど質問が来る。それに回答したり、自分がした質問に回答がもらえたりする、というシステムなのですが…
 見ていて、最近どうも、みんながみんなインタビュー待ちでインタビューしないらしく、回らないので、スタッフ側がごく漠然とした質問を機械的にするようになっているようなのですね。
 だって初期はプロフィールに関連した、明らかにその人に興味があってしている質問がちゃんと来ていたのに、最近来るのは誰にしてもいいような質問なんですもん。絶対おかしい。
 でも、「有名になりたい」「みんなからちやほやされたい」「インタビューされたい」って、根っこは同じなのかもしれない、とか思いました。だからインタビューしない。ただされたいだけ。
 でも「有名税」という素晴らしい造語もあるわけだし、いいことばかりじゃないし望んでなれるものでもないと思うよ…なんてことはこういう若者に言っても野暮の極みなんでしょうね…

 そうだタイトルですが、私は対等なカップルはレディファーストの精神で女性名を先に出すのが普通なのかと思っていました。フィギュアスケートとか、パートナーが先、リーダーが後だし。
 でもこのふたりは生前は、ボニーがあくまで従犯と考えられていたこともあり、「クライド&ボニー」だったんだそうですね。へえ…
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