駒子の備忘録

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萩尾望都 『ポーの一族』

2010年03月10日 | 愛蔵コミック・コラム/著者名は行
 小学館フラワーコミックス全5巻

 青い霧と黄昏と闇の中に棲み、人々の生き血をすすり、薔薇を枯らす一族、バンパネラ…ポーの一族に加えられた少年エドガーの、300年あまりの生涯の物語。

 小学生の頃、友人に当時すでにだいぶボロボロだった2巻と3巻だけもらって読んで、慌てて前後の巻を買い揃えた記憶があります。きれいな文庫版とかで買い直そうとも思うのですが、今のところそのままです。
 確か、初めて読んだ萩尾作品だったと思います。いやあ、はまりましたねえ。当時アニメ版『銀河鉄道999』にもはまっていて、メーテルの悲しさとエドガーのそれとが重なって感じられたのです。時を越えて生きていかなければならない、寂しさ、もの悲しさ…自分でも年表を作って、時を越えて生きるキャラクターのお話を考えたりしたものです。

 時を越えて生きることの醍醐味(?)を端的に表すエピソードで、構成が好みな『グレンスミスの日記』や、エドガーがいない間のアランの日常を描いた『一週間』なんかが好きです。それから、ふたりに育てられた少女のお話『リデル森の中』。私は窓を開けて眠ることなどなかったけれど、その気持ち、そしていつしか窓を閉める時が来ることは、理解できます。泣けますね。
 ラストシーンも悲しくて悲しくて、私はかなり長い間続きがあるものだと思っていました。エドガーをこのままになんかできないよ、とね。当時フラワーコミックスはあまりちゃんと「完結」を表記していなかったような記憶もありますし。柱時計とともに落ちていくアランの姿は思い出すだけで胸ふたがれます。
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