駒子の備忘録

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宝塚歌劇宙組『シャングリラ-水之城-』初日雑感

2010年03月09日 | 日記
 日帰りで行ってきました!
 ネタバレしていないつもりです。

*****

 シアター・ドラマシティ、2010年3月9日ソワレ(初日)。

 第三次世界大戦後の日本。地上の水は汚染され、安全な水源は誰もその場所を知ることのない幻の都・シャングリラに君臨する王によって支配されていた。旅芸人一座の踊り子・美雨(野々すみ花)は、砂漠で倒れていたひとりの男(大空祐飛)を助ける。男は意識を取り戻したが、一切の記憶を失っていた。男は美雨から「空」という名前を与えられ、一座に加わることになる。空が美雨に助けてくれたお礼にと差し出した首飾りは、だが、美雨がかつて想い人・嵐(蘭寿とむ)に渡したものだった…作・演出/小柳奈穂子、作曲・編曲/吉田優子、振付/御織ゆみ乃、KAZUMI-BOY。全2幕。

 田村由美『BASARA』にインスパイアされたとかしないとか…とにかく、近未来を舞台にしたSFファンタジーということで、企画が発表された瞬間から「ザッツ中二病」と見識あるファンの間ではささやかれていましたが、それはズバリそのとおりだったわけです(^^)。
 イヤでも気持ちわかるし、嫌じゃなかったですけどねー。ベタベタだったけどメタメタってほどじゃなかったし(^^;)。

 最初のうちは、みんなしてつっ立たせて状況説明を順に言わせるような、へたくそな演出はやめてくれ!と叫びそうになりましたが、二幕はわりとミュージカルになっていましたし。

 アテ書きと言いつつまあ普通というか想定内だったかなという空と美雨ですが、記憶がないので頼りなげで、美雨のあとをついていくユウヒは確かに萌えだし、ハキハキさっさと前向いて動き出すスミカは生き生きとしてとてもいいです。
 スミカは特にダンスもよかった。ラスト(この場面の名を「シャングリラ」とする小柳先生のロマンよ!)のデュエットソングもがんばっていた。
 神官の娘にしてはおきゃんすぎたかもしれないけどネ(^^;)。

 ストーリーは…まあ、どこかで読んだことある、見たことある作品イメージがちらつきますが、まあいいんじゃないでょうか。

 儲け役だったのは雹を演じたちーちゃん(蓮水ゆうや)、逆に辛抱役だったのは海のみっちゃん(北翔海莉)かなー。
 フィナーレはパンフレットと同じきれいなお顔で出てきましたけど、最初は何事かと思ったし、目が見えない役というのは『カサブランカ』ルノーに引き続いて難役だったのでは…あるいはなんとも演じようがないというか…
 逆にある種すべてのドラマをしょってしまっているところもある氷(と書いて「アイス」と読む!)のともちん(悠未ひろ)は、さらに練られていくともっといい感じになるんじゃないのかなー。
 そしてそれは記憶を取り戻した後の空も同じことかな。
 ふたりの「復讐」の違い、生き方の違い、世界の再建方法の違い、王としてのあり方の違い、求める幸福の違い…みたいなものが、そもそもの事件の発端だったはずなのだから。
 そこらへんが、まあ台詞のせいもあるんだけれど、やや曖昧だったかなーとは思いました。
 観客側も慣れてくればもっと理解力を発揮してあげられるかもしけないけれど、観客に補完させるのはホントはダメなことだよね。

 そして、私は海のために、ラストに美雨に以下のような台詞を言わせたい。
 でないと、空があっさり戻ってきすぎな気がしちゃうもん。
「誰だってみんな誰かを亡くしてるよ、でも誰だって生きていかなきゃいけないんだよ、幸せになんなきゃいけないんだよ」
 と。
 …どうでしょう?

 役名、嵐じゃなくてまんま蘭でいいだろとも言われていたまゆたん、またまたムダに色気と包容力が…(ムダ言うな)
 せーこちゃん(純矢ちとせ)も大人っぽい女科学者でいい感じでした。
 涙(七海ひろき)はコメディリリーフなのかな? いい感じでした。そして必ずこういう物語って、こういう立ち位置の書記キャラがいるよね…
 ダイちゃん(鳳翔大)も黒い革ジャケットとウェスタンブーツが似合っていて、ああいうスタイルの長髪が苦手な私も見惚れました!
 エリちゃん(藤咲えり)もクールビューティーで素敵でした。雹は空が好きだったんだけど霙は氷が好きだったんだよね???
 あと、まさこ(十輝いりす)の「一張羅」はつっこんでいいところなんですよね???

 プロローグのダンスが素敵だったことは特筆ものかと。

 初日の挨拶は…
「ソラ役のソラ組のオオゾラユウヒです」
 で笑いを取ったくらい?(^^;)
 原作なし、参考データなし、ゼロから作り上げたフィクションのキャラクターと世界で、でもみなさんの心に何か残るものがあるといい…みたいないいことも言っていたかもしれません。すでに記憶が曖昧で申し訳ありません…

 再見が楽しみです!
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