東京宝塚劇場、2010年10月29日マチネ、11月9日マチネ。
新人公演11月4日ソワレ。
18世紀のハンガリー。テメシュバールにはトルコ支配時代に総督が隠した財宝が眠っていると噂されていた。豚飼い商人のジュパン(汝鳥伶)は使用人オトカー(明日海りお)に命じてあらゆる場所を掘り返させていたが、財宝は一向に見つからなかった。そこへ、無実の罪で亡命を余儀なくされた大地主バリンカイの息子シュテルク(霧矢大夢)が戻ってくることになった。幼くして両親を亡くし、世界中を放浪していたシュテルクは、20数年ぶりに政府の役人カルネロ伯爵(越乃リュウ)に見つけだされ、父の領地を継承することが認められたのだ。ふたりはテメシュバールに向かうが…
脚本・演出/谷正純、作曲・編曲/吉崎憲治。ヨハン・シュトラウスⅡ世のオペレッタをリメイク。
グランド・レビューは作・演出/中村一徳。
特に予備知識なく観にいったのですが、とても楽しかったです。
単純におもしろい。
さすがオペレッタ原作という感じ。
最初のうちは、本当にオペレッタふうに歌い継いで場面が展開し、いつもの宝塚調とはちょっとちがく感じられたので、観客もとまどうのではないかしらん、などと心配しながら観ていたのですが、だんだん取り込まれました(^^)。
真の悪人が出てこないあたり、いかにもオペレッタで、今のからりと明るい月組のムードにも合っていたのではないでしょうか。
なんでもできるきりやんにはこうした役は楽々でしたよね。朗々とした歌声も聞かせて、たいそういい感じでした。
野生的かつ繊細なジブシー娘ザッフィ(蒼乃夕妃)はまりもちゃん。これまたニンですね。実はトルコ総督の娘…というのは、結局ヒロインをジプシーにしたくないってことじゃん、という、当時の民族差別をやはり感じて、いらない設定だなあと思わなくもないですが、凱旋後の宮廷にドレス姿で登場するのはやはり華やかでよかったので、ま、いいか。
それに父親はトルコ貴族でも母親はジプシーだったんでしょうしね。ともあれ自由を愛し束縛を嫌うシュテルクとは似合いの恋人同士なのでした。
冒頭に「ロマの男女」として6分間のダンスシーンがあるのですが、これは本当に圧巻。
特にまりものドレスの裾裁きと、スリットから覗く筋肉質の脚の美しさといったらありません。出色。ダンサーのトップコンビならではのシーンでした。
まさおはジプシーの青年パリ(龍真咲)。主人公に反感を持つというべたべたな二番手の役所でしたが、やはり色濃い役が似合って好演。
シュテルクの雅量を認めてからは、従軍することになってしまった彼のあとを追って、ともに戦うため、そしてハンガリー市民としての立場を得るため、前向きに入隊を宣言し、泣かせてくれました。
パリはザッフィのことが好きで、それは周知のこと。しかしザッフィの方ではその気がないことも周知のことで、そしてそんなパリにずっと片思いしているヴィオルカ(愛希れいか)、というややみそっかすな女の子の存在も周知のことのようです。
このヴィオルカがいじらしくてひたむきで、儲け役だったなあ。とても良くて、若い男役にしては大健闘していたと思いますが、娘役ちゃんでも見てみたかったかな。
あと、もうちょっと「みそっかす」感があった方が、かえって収まりがよかったかな、とかも思いました。
パリはシュテルクを認めるとともにザッフィへの想いを振り切ったように見えました。
というか、シュテルクがジュパンに対して
「俺の花嫁はジプシーだ、この娘だ!」
とザッフィの手を取って宣言して見せたときに、双方まるごと認めたのではないでしょうか。
ではヴィオルカについてはいつ結婚まで考えるようになったかというのは、残念ながら描かれていないわけですが(^^;)。
オトカーがアルゼナ(彩星りおん)にプロポーズすると、パリもヴィオルカにプロポーズするのですが、このくだりは多少の演出変更が大劇場と東宝であったそうですね。
オトカーはややしどころがない役でもありますが、天然っぽい真面目でちょっとおとぼけで…みたいな好青年をみりおは過不足なく好演していたと思います。美しすぎたかもしれないけれどね(^^)。
オトカーの主人の三女にして秘密の恋人アルゼナは、元男役だけあってただの美少女には収まらず、気が強そうな頓知の効く小娘って感じでよかったです。
フローリカ(憧花ゆりの)と歌い継ぐ銃後の歌もとてもよかった。これは大義とか友情とかのために戦場に命を投げ出しに行っちゃう男どものことを「バカ!」と罵りつつ案じて歌う愛の歌なのですが、とても大事な視点だと思います。
ところでフローリカはトボル(桐生園加)とラブラブってほどではないのかな…喜んだカルネロがフローリカに飛びついたあと、トボルが取り返していたけど、あとは別にいちゃいちゃしていたわけではなかったような…残念(^^;)。
カルネロはさすがの芸達者ぶり。
侍従長の一色瑠加とか船頭の研ルイスとかマリア・テレジアの花瀬みずかとか、ツィプラの美鳳あやとか脇を固める上級生パワーは大事です。そしてこの組には健在。
ホモナイ伯爵(青樹泉)もよかったけれど、ジュパンの使用人頭イシュトバン(星条海斗)はやややりようがなかったかなあ。
あとは、やはり新公を見られてなじんだから、というのもありますが、としちゃん、ゆりやくん、ゆうきくん、たまきちなんかはジプシーの中でも目立って見えました。
新公では、主役のとしちゃんがとてもはつらつと明快に演じていた印象で、とてもよかったです。
みくちゃんも歌が良くて、大健闘だったのではないでしょうか。
ゆうきくんは本役が鮮やかすぎただけに、やや余裕がなく見えたかなー…黒い役というのは難しいものです。
逆に何もない役もやりづらいでしょうが、ゆりやくんはほんわか上手くやっていたと思います。
前回の主演から一転して今度は本役が専科さんというたまきちくん。でも教育法としてはとても正しいと思うし、すごくよかった。ちゅーちゃんとの夫婦なんて美しすぎる…!
ゆめちゃんはもっと線の細い娘役かと思っていましたが、意外にパンチがあって、本役とはまたのりのちがったアルゼナでよかったです。
マリア・テレジアのりっちー、カルネロ伯爵のさやかちゃんはさすがにカタい。
モブが減る分、貴族やジプシーが少なくて寂しい、という以外は、大健闘でよくできた新公だったのではないでしょうか。
…実は新公を観るのは二度目、しかも前回は『スカピン』と、月組しか観ていないので比較ができなくてアレですが…
さてショーの方は…
…すみません、タイクツしました…
だって見せ方がずっとずっと同じなんだもん…
大人数を舞台に乗せるのはいいけど、ずっと続くとマスゲームを眺めてるみたいで、催眠効果が…(><)
…あと、言っても詮無いことだけど、きりやんやっぱ小さいな、と思ってしまった…
あと赤ってタイプじゃないと思う…本人は喜んでいるようだけれど、アサコはトップだから赤を着ていたわけじゃないと思うんですよね。似合う色がそれぞれあるってことだと思うのですよ。
まりもの脚には目を見張ったけどね! タコ足サイコー!!
…おしまい。
すみませんこんなシメで…
新人公演11月4日ソワレ。
18世紀のハンガリー。テメシュバールにはトルコ支配時代に総督が隠した財宝が眠っていると噂されていた。豚飼い商人のジュパン(汝鳥伶)は使用人オトカー(明日海りお)に命じてあらゆる場所を掘り返させていたが、財宝は一向に見つからなかった。そこへ、無実の罪で亡命を余儀なくされた大地主バリンカイの息子シュテルク(霧矢大夢)が戻ってくることになった。幼くして両親を亡くし、世界中を放浪していたシュテルクは、20数年ぶりに政府の役人カルネロ伯爵(越乃リュウ)に見つけだされ、父の領地を継承することが認められたのだ。ふたりはテメシュバールに向かうが…
脚本・演出/谷正純、作曲・編曲/吉崎憲治。ヨハン・シュトラウスⅡ世のオペレッタをリメイク。
グランド・レビューは作・演出/中村一徳。
特に予備知識なく観にいったのですが、とても楽しかったです。
単純におもしろい。
さすがオペレッタ原作という感じ。
最初のうちは、本当にオペレッタふうに歌い継いで場面が展開し、いつもの宝塚調とはちょっとちがく感じられたので、観客もとまどうのではないかしらん、などと心配しながら観ていたのですが、だんだん取り込まれました(^^)。
真の悪人が出てこないあたり、いかにもオペレッタで、今のからりと明るい月組のムードにも合っていたのではないでしょうか。
なんでもできるきりやんにはこうした役は楽々でしたよね。朗々とした歌声も聞かせて、たいそういい感じでした。
野生的かつ繊細なジブシー娘ザッフィ(蒼乃夕妃)はまりもちゃん。これまたニンですね。実はトルコ総督の娘…というのは、結局ヒロインをジプシーにしたくないってことじゃん、という、当時の民族差別をやはり感じて、いらない設定だなあと思わなくもないですが、凱旋後の宮廷にドレス姿で登場するのはやはり華やかでよかったので、ま、いいか。
それに父親はトルコ貴族でも母親はジプシーだったんでしょうしね。ともあれ自由を愛し束縛を嫌うシュテルクとは似合いの恋人同士なのでした。
冒頭に「ロマの男女」として6分間のダンスシーンがあるのですが、これは本当に圧巻。
特にまりものドレスの裾裁きと、スリットから覗く筋肉質の脚の美しさといったらありません。出色。ダンサーのトップコンビならではのシーンでした。
まさおはジプシーの青年パリ(龍真咲)。主人公に反感を持つというべたべたな二番手の役所でしたが、やはり色濃い役が似合って好演。
シュテルクの雅量を認めてからは、従軍することになってしまった彼のあとを追って、ともに戦うため、そしてハンガリー市民としての立場を得るため、前向きに入隊を宣言し、泣かせてくれました。
パリはザッフィのことが好きで、それは周知のこと。しかしザッフィの方ではその気がないことも周知のことで、そしてそんなパリにずっと片思いしているヴィオルカ(愛希れいか)、というややみそっかすな女の子の存在も周知のことのようです。
このヴィオルカがいじらしくてひたむきで、儲け役だったなあ。とても良くて、若い男役にしては大健闘していたと思いますが、娘役ちゃんでも見てみたかったかな。
あと、もうちょっと「みそっかす」感があった方が、かえって収まりがよかったかな、とかも思いました。
パリはシュテルクを認めるとともにザッフィへの想いを振り切ったように見えました。
というか、シュテルクがジュパンに対して
「俺の花嫁はジプシーだ、この娘だ!」
とザッフィの手を取って宣言して見せたときに、双方まるごと認めたのではないでしょうか。
ではヴィオルカについてはいつ結婚まで考えるようになったかというのは、残念ながら描かれていないわけですが(^^;)。
オトカーがアルゼナ(彩星りおん)にプロポーズすると、パリもヴィオルカにプロポーズするのですが、このくだりは多少の演出変更が大劇場と東宝であったそうですね。
オトカーはややしどころがない役でもありますが、天然っぽい真面目でちょっとおとぼけで…みたいな好青年をみりおは過不足なく好演していたと思います。美しすぎたかもしれないけれどね(^^)。
オトカーの主人の三女にして秘密の恋人アルゼナは、元男役だけあってただの美少女には収まらず、気が強そうな頓知の効く小娘って感じでよかったです。
フローリカ(憧花ゆりの)と歌い継ぐ銃後の歌もとてもよかった。これは大義とか友情とかのために戦場に命を投げ出しに行っちゃう男どものことを「バカ!」と罵りつつ案じて歌う愛の歌なのですが、とても大事な視点だと思います。
ところでフローリカはトボル(桐生園加)とラブラブってほどではないのかな…喜んだカルネロがフローリカに飛びついたあと、トボルが取り返していたけど、あとは別にいちゃいちゃしていたわけではなかったような…残念(^^;)。
カルネロはさすがの芸達者ぶり。
侍従長の一色瑠加とか船頭の研ルイスとかマリア・テレジアの花瀬みずかとか、ツィプラの美鳳あやとか脇を固める上級生パワーは大事です。そしてこの組には健在。
ホモナイ伯爵(青樹泉)もよかったけれど、ジュパンの使用人頭イシュトバン(星条海斗)はやややりようがなかったかなあ。
あとは、やはり新公を見られてなじんだから、というのもありますが、としちゃん、ゆりやくん、ゆうきくん、たまきちなんかはジプシーの中でも目立って見えました。
新公では、主役のとしちゃんがとてもはつらつと明快に演じていた印象で、とてもよかったです。
みくちゃんも歌が良くて、大健闘だったのではないでしょうか。
ゆうきくんは本役が鮮やかすぎただけに、やや余裕がなく見えたかなー…黒い役というのは難しいものです。
逆に何もない役もやりづらいでしょうが、ゆりやくんはほんわか上手くやっていたと思います。
前回の主演から一転して今度は本役が専科さんというたまきちくん。でも教育法としてはとても正しいと思うし、すごくよかった。ちゅーちゃんとの夫婦なんて美しすぎる…!
ゆめちゃんはもっと線の細い娘役かと思っていましたが、意外にパンチがあって、本役とはまたのりのちがったアルゼナでよかったです。
マリア・テレジアのりっちー、カルネロ伯爵のさやかちゃんはさすがにカタい。
モブが減る分、貴族やジプシーが少なくて寂しい、という以外は、大健闘でよくできた新公だったのではないでしょうか。
…実は新公を観るのは二度目、しかも前回は『スカピン』と、月組しか観ていないので比較ができなくてアレですが…
さてショーの方は…
…すみません、タイクツしました…
だって見せ方がずっとずっと同じなんだもん…
大人数を舞台に乗せるのはいいけど、ずっと続くとマスゲームを眺めてるみたいで、催眠効果が…(><)
…あと、言っても詮無いことだけど、きりやんやっぱ小さいな、と思ってしまった…
あと赤ってタイプじゃないと思う…本人は喜んでいるようだけれど、アサコはトップだから赤を着ていたわけじゃないと思うんですよね。似合う色がそれぞれあるってことだと思うのですよ。
まりもの脚には目を見張ったけどね! タコ足サイコー!!
…おしまい。
すみませんこんなシメで…
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