駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

新国立劇場バレエ団『春の祭典』

2022年11月27日 | 観劇記/タイトルは行
 新国立劇場中劇場、2022年11月25日19時(初日)。

 前半は20分ほどの『半獣神の午後』、初演。演出・振付/平山素子、音楽/笠松泰洋、クロード・ドビュッシー。出演のソロは福田圭吾、この日のデュオは奥村康祐、中島瑞生。
 休憩を挟んで後半は『春の祭典』。演出・美術原案/平山素子、振付/平山素子、柳本雅寛、音楽/イーゴリ・ストラヴィンスキー。出演はこの日は米沢唯、福岡雄大。2008年に『古楽とストラヴィンスキー』で初演されたものの再演。

 私は普段は上野の三階か四階からか、オペラパレスの二階からごくごくクラシカルなバレエ・ブランをぼーっと眺めるようなミーハー・バレエファン・ライフを送っているので、中劇場の端とはいえ一階前方席からモダンバレエをバリバリ踊るダンサーさんたちをこんなに間近に見るなんて…というのがまずなかなかショッキングでした。でもさすが中劇場でないと、という舞台の使い方で、とてもおもしろかったです。
 時空を飛び越える旅人、重なり合い答えを探す存在、輝く肉体の交錯、それらを通して肉体に宿る官能性と獣性をあぶりだし、境界をにじませる…らしき一幕、視線にさらされるふたつの肉体と柔らかな皮膜の融合、生成される爆発的接触が音の洪水と交錯し誕生する生命美を描き出す…そうな二幕とも、ワケわからなかったけどおもしろかったです。そういう言葉にされるとそうなような、違うような、ですが、まあなんかそういうようなものは確かに感じられた、と思いました。まあ音楽への知識とか予断とか、そういったものはあるかもしれませんが。
 神話の世界のようなお衣装から急にモダンなお衣装に変わり、でも踊りは変わらないような、でも印象は変わるようなやっぱり変わらないような、根底で訴えられているものはやはり同じなような…と脳味噌を揺さぶられる感じが、とてもおもしろかったです。ワケわからなくても、舞踊ってそれこそ「考えるな、感じろ」なんだと思うので、こういう作品も観てみることができてとても楽しかったのでした。




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