映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

昼顔(1967年)

2015-07-28 | 【ひ】



 Mの気のある有閑マダムが、夫とのセックスに飽き足らず、かと言って、夫にSをねだることは憚られ、あろうことか売春アルバイトに手を染める・・・。

 『反撥』に続く、ドヌーヴの妖しい魅力が見ものな逸品。

 
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 かの有名な作品を、今さらながら拝見しました。思っていたよりかなり笑えるシーンがありまして、楽しめました。

 ドヌーヴ演じるセブリーヌは、優しい夫がいるのに「昼顔」という源氏名の娼婦になってしまうんだけれど、ここで客となる男性陣たちがユニークというか、あれが男の本性なのか分からないけど、面白すぎです。

 ある日の客は、Mな自称“大学教授”で、このオッサン、娼婦相手に“奥様と下僕”になりきり中、奥様のムチのタイミングが早いと「まだ早い!」とかってダメ出し。下僕のコスプレが何とも言えないというか。宴会グッズの鼻眼鏡みたいなメガネにちょび髭、、、。また別の日には、お城みたいなお屋敷に住む高貴なお方が、娘の臨終ごっこに昼顔を付き合わせる。昼顔を全裸にさせた上で頭から黒いベールをかけ、ご丁寧に棺桶にまで昼顔を横たえ、その死顔を愛撫しながら棺桶の下に潜り込んで、、、、とか。意味分からん。私が昼顔だったら途中で噴き出しちゃいそう、可笑しくて。セブリーヌはちゃんと付き合ってあげるんだから(商売とはいえ)偉いわ。

 ま、こんな人畜無害な客ばかりなら良いけれど、やはりそういう訳にもいかず、、、。昼顔にマジ惚れしてしまう若造が現れるんだけど、この男が見るからにヤバそうなのです。上の歯は全部銀歯、しかも昼顔を押し倒しながら脱いだ靴から出てきたその足に履いている靴下にはでっかい穴が開いている、、、。この描写で、この男の生活実態は推し測られ、セブリーヌ、ヤバいよ!! と見ている者はドキドキさせられる訳です。当のセブリーヌは全く危機感ナシですが。

 ところどころで、セブリーヌの妄想シーンが入るのは、あの『反撥』と同じですね。こっちの妄想の方がM全開ですが。何しろ、冒頭からいきなり緊縛鞭打ちですからねぇ、、、。やるな~、ドヌーヴさま。服も全部脱がないあたりが余計にエロ度が増します。あと、純白のドレスを着て、やっぱり縛り付けられて夫に泥を「このズベタ!」とか言われながら投げ付けられるとか。妄想シーンでセブリーヌを甚振るのは、必ず夫なんですよね、これが。ここにセブリーヌの深層心理を見る、ってことでしょーか。

 でも、私はラストシーンで再び馬車が出てきて妄想シーンとなったところで、正直、この作品での描写全てが妄想なのかも、という気もしました。ぜ~んぶセブリーヌの脳内物語。少女の頃の体験も、全て。だって、夫の親友が教えてくれた売春館で娼婦のバイトなんて、普通しませんよ。危険すぎますから。知り合いに会う確率が高過ぎる。・・・まあ、でも、昼顔の可笑しな客たちとか、むしろリアルな方が面白いし。あの程度のコスプレじゃ、セブリーヌの妄想にしては大人しいという気もしますし。

 まあ、どこまでが妄想で、どこまでがリアルかなんて、あんまし意味ないかもですね、本作においては。

 ドヌーヴさまは、このとき24歳だとか。 美しいけれど、ちょっと痩せすぎ? 2年前の『反撥』の方が好きかなー、個人的には。でも、20代前半でこういう役が出来ることがスゴイと思います。精神的にも今の若者より早熟だったんでしょうなぁ、50年前の若者たちは。私が若者だった20~30年前、すでに、「おめぇら、いつまでガキのつもりだ」と世間に言われていたものです。

 相変わらず、ブニュエルは変態の描写が上手いなー。『小間使の日記』とか、また見たくなっちゃった。ホント、『忘れられた人々』を撮った同じ監督とは思えない、この素晴らしい芸当に脱帽でございました。







ドヌーヴ&ブニュエルによる奇跡的エロ映画。




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