映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

ネットワーク(1976年)

2019-06-22 | 【ね】

作品情報⇒https://movie.walkerplus.com/mv6850/

 

 大手TV局の看板番組で15年間メインキャスターを務めてきたハワード・ビール(ピーター・フィンチ)だったが、かつては28%もあった視聴率が、今や12%と低迷していることから、クビが決まる。しかし、ビールは辞めたくないと主張し、なんと翌日の番組本番でTV局の裏側をあることないことぶちまけた挙げ句「この番組を辞めることになった、明日のこの時間、この番組内で自殺する」と宣言してしまう。スタッフ一同慌てるが、これが視聴者には受けたのか視聴率が跳ね上がる。

 その状況を知ったエンタメ担当プロデューサーのダイアナ・クリステンセン(フェイ・ダナウェイ)は、これはチャンスだとばかり、ビールを“時代の預言者”に仕立て上げたワイドショーで儲けようと画策する。

 実際、ビールを預言者としたエンタメ番組は人気を博し、視聴率はうなぎ上り。おかげで報道担当プロデューサーであるマックス・シューマッカー(ウィリアム・ホールデン)がお払い箱となる。その一方で自分を追い落としたダイアナに、マックスは惹かれて2人は不倫関係に陥る。

 しかし、ある日、ビールが喚き散らしながら発した言葉がスポンサーの不興を買ったことを切っ掛けに、ビールは局のオーナーに脅迫まがいの洗脳をされて、翌日からはオーナーの信条を番組内で預言として喚き散らすようになる。それとともに、視聴率はどんどん低下していく。

 ダイアナは、いよいよビールを辞めさせなければならないと考えるが、オーナーはビールを降ろしたくない意向であるらしく、悩む。そうして、ダイアナは一計を思い付くのであったが、、、。

 

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  どうしてこの作品をレンタルリストに入れたのか覚えていないのだけど、恐らくシドニー・ルメット監督作品ということで見てみようと思ったんだと思われる、、、。出演者も何気に豪華だしね。まあ、面白くなくはなかったけれども、ううむ、、、という部分もイロイロありました。

 

◆本題よりも気になったことが、、、

 TV局って、ネットがここまで普及した今でこそ存在価値が薄れてきた感があるけれど、本作が撮られた当時は、そりゃもう、影響力で言えば他に追随を許さぬ圧倒的な存在だったわけで。こんなにTV局が落ちぶれた今だって、仁義なき視聴率戦争は続いているのだから、当時は推して知るべしである。

 視聴率=カネさえ稼げれば、モラルも法もあったもんじゃない、、、そんな話を本作は描いている。監督のルメットはTV出身の人だそうなので、内幕を描くのはお手の物だったろう。実情はこんなもんじゃないだろうけれども、まあ、えげつなさは十分伝わってくる。

 で、この本題よりも、私が本作を見ていて気になっていたのは、フェイ・ダナウェイ演ずるダイアナと、ウィリアム・ホールデン演ずるマックスが不倫関係になるエピソードの必要性である。

 まぁ、こう言っちゃ悪いが、このエピソードいらなくない? と思う。一応、本作でのただ1人の良心的存在が、このマックスなんだが、しかし、訳の分からない不倫に走ることで、見ている方としてはマックスもただの薄汚いオヤジにしか思えなくなる。だいたい、ダイアナみたいな女性が、マックスのような会社を追われたヨボヨボの爺ぃと恋愛関係になるなんて、あまりにもリアリティがなさ過ぎる。百歩譲って、そういうこともあるかもね、、、と思ってみたところで、マックスが長年寄り添ってきた妻を傷つけるロクデナシであることに変わりはなく、結局、本作におけるキャラの配置が意味をなさなくなってしまっているのである。

 もし、どうしても不倫関係を描きたいのなら、もう少し、ダイアナという女性の人物像を掘り下げるためのものとすべきだったんじゃないかしらん。ダイアナがなんであそこまで、男とセックス中に仕事絡みのセリフを喘いで言うほどまで、24時間1秒の隙もなく仕事人間になったのか、、、という彼女のバックグラウンドを描けば、もう少し本作にも奥行きが出たかも知れない。でも、本作では、マックスはそんなダイアナの無機質さに引いてしまって、ただ去って行くのである。もちろん、妻の下へ帰るのだ。なんじゃそら、、、と思うでしょ、フツー。

 ……まあ、でもダイアナの背景なんてくどくど描写する必要性もあんまりなさそうだし、……やっぱり不倫の話はいらんだろう、という結論にしかならない。

 それに(こっちの方が私的には重要)、申し訳ないが、ウィリアム・ホールデンはあんまり知的に見えないし、年齢的にもちょっと不倫の描写に耐えられるルックスではなくなっている。ダイアナがなんであんな爺ぃによろめいたのか、ダイアナより年上のおばちゃんから見ても全く理解できん。まあ、うんと年上が好き、という人もいるけどね、世の中には。

 正直な話、人間、50も過ぎると、やっぱりガタがあちこち来ていて、それがモロに表面化してきて、見た目的にも“キレイじゃない”のだよ。もちろん、自分も含めて。だから、同年代の素敵な男性であっても、あの人とキスしたいとかセックスしたいとか、まるで思えないのだよ。歯周病やないん?とか、老人斑の出た皮膚とか、加齢臭??とか、こっちだってたるんだ腹とか、、、、もういいです、って感じ。死ぬまでしたい、と思う人もいるんだろうけど、私はゴメンだわ。スキンシップで十分。

 もしかして、ルメットか、脚本のパディ・チャイエフスキーの願望かしらん……?

 

◆ピーター・フィンチの演技が圧巻。

 本作では、一応、主役はフェイ・ダナウェイになるんだろうけど、真の主役は、ピーター・フィンチだろう。それくらい、彼の演ずるビールが強烈だ。

 最初にキャスターをクビになった後、彼はメンタルを病んでしまう感じで、どんどん病的な言動になっていく。しかし、それを面白いからと言ってダイアナは見世物にするわけだ。

 ピーター・フィンチは、そのイッちゃっているビールを、もしかしてそれが“地”なんじゃないの? というくらい乗り移ったかのように演じている。彼のあの狂った演技が、この作品の印象を決めているといってもいいくらい。彼が、死後にオスカーを受賞したのも納得。

 フェイ・ダナウェイは、ものすごい美人というわけじゃないけど、知的だし品があるし、こういうバリバリの仕事人間の役には向いている。カネのためだったら手段を問わない、人間性の欠落したキャラが、あの冷たい大理石のような肌の彼女にピッタリ。

 あと、ロバート・デュヴァルが若い! つーかカッコイイ、と思った。頭髪はもう後退しているけれど、ちょっとエキセントリックで自己チューな役がハマっていた。

 個人的には、出番が少なかったけれど、マックスの妻を演じたベアトリス・ストレイトが素敵だなぁ、と思った。……ら、なんと彼女、これでオスカー受賞していたのねぇ、ビックリ。あと、マックスの自宅がすごく素敵だった。本棚が一杯あって、グリーンもさりげなくあちこちに置かれて、、、あんな家にほんの数日で良いから暮らしてみたいわぁ。  

 

 

 

今でいう“炎上狙い”ですね、これは。 

 

 

 

 

 

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