映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

DAU. ナターシャ(2020年)

2021-04-04 | 【た】

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv72557/


以下、上記リンクよりあらすじのコピペです。

=====ここから。

 ソ連某所にある秘密研究所。この施設では、多くの科学者たちが軍事的な研究を続けていた。

 ナターシャ(ナターリヤ ・ベレジナヤ)は、この施設に併設された食堂で働くウェイトレス。ある日、彼女は研究所に滞在するフランス人科学者と肉体関係を結ぶ。言葉も通じないまま、惹かれ合う2人。

 だが、当局から呼び出しを受けた彼女は、冷酷なKGB職員が待つ暗い部屋に案内され、スパイ容疑で厳しい追及を受けることに……。

=====ここまで。 

 ソ連全体主義社会を完全再現したウクライナのとある街で1万人のエキストラを動員した「DAU. プロジェクト」によるシリーズ第一弾。第二弾以降もあるんだろうけど、公開されるんだろうか、、、。


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 長らく更新をサボっていたのには、特に理由はありません。ただただ、「書く気がしなかった」だけでございます。書く気にならなかった最大の要因は、そらもう、“憂国”です。あれこれ書いても愚痴ばかりになるのでやめときますが、ダラダラ緩慢な緊急事態だとかマンボウだとか、バカじゃないのかとは思いますね。厚労省の役人じゃなくても、みんなハメも外したくなるでしょーよ。今さら、「マンボウという言葉は不適切」とか、何言ってんのかね。ネット上にはマンボウがマスクしたコラ画像なんかも出てたよ。最初からマジメにやれって話。

 東京は相変わらずの感染者多数だけど、コロナに感染するのが怖いというよりは、感染した際の検査だの通院だの手続きだのの煩雑さを想像しただけでゲンナリ、、、だから感染したくない、というのが本音。私の身近なところでは感染者が出ていないけれど、変異株とやらは感染力が強いらしいので、ますます人混みは避けたくなる、、、ので映画館にも平日の昼間にしか行きたくない。サービスデーの夜とか土日は混むのが目に見えているので、絶対行きたくない。かといって、平日の昼間も、そうそう仕事をしょっちゅうサボる訳にも行かず。平時なら劇場に行ったかもしれない作品も、どーせすぐにDVDになること確実な作品は行かないとか。劇場の運営を思えば、積極的に足を運ぶべきなんだろうけど、なかなかね、、、。

 そんな中で、本作はまあ、もしかしたらDVDにならないかもなぁ、、、いや、なるだろうけど、ちょっと見ておきたいなと思って、仕事休んで見てきました。ここんとこのロシアかぶれの延長ってのもあるけど、何しろヘンなプロジェクトの映画第一弾だし。物議を醸したと聞けば、見たいと思うのが人情ってもの。

 ……というわけで、見に行ったんだけれど、想像以上にヘンな映画でした。以下、感想です。
 

◆DAU.プロジェクト

 「衝撃的なバイオレンスとエロティックな描写」と、見る前に聞いていたので、それなりに覚悟して見に行ったのだけど、そっち方面はあんましショッキングではなかった。役者さんたちは、ホントにセックスしているらしいし、拷問シーンもリアルだとか。もちろん、そういう設定の“撮影”という前提で、役者さんたちは了解の上だそうだが。そらそーだわね、、、。でなきゃ人権問題になってしまう(DAU.プロジェクトについては、ご興味おありの方は、公式HPをご覧ください)。

 壮大な仮想空間で実際に生活をしながらの撮影、ということで、リアリティをより追及しているということだが、正直な話、人のリアルなセックスなんか見ても、退屈だし、美しくなければ気持ち悪い(すみません)だけで、ここまでセックスシーンを長々と入れる意味があったのか、ちょっと疑問。終盤にある拷問シーンも、瓶を女性器に入れさせるというものなんだが、そこにビンタが加わったり、暴言・罵倒が入ったりするという、まあ、凄惨とまでは言わないが、不快指数はかなり高い。

 ただ、「衝撃的な」というなら、こんなメンドクサイ企画じゃなくて、一般的な制作による映画でもっとヒドいのはいっぱいあるわけで、これがベルリン映画祭で物議を醸したってのも、それはそれで??な気はする。要するに、このDAU.プロジェクトが人権的にどうなのか、ってことなんだろうけれども。

 実際のホントのところは分からないが、監督や俳優たちの弁を素直に受け止めるのであれば、普通の映画作りと根本的には同じだから、別にいいんじゃないの?と思う。まあ、撮影がないときも、普通の生活を壮大なセットの中で送る、、、ってのはちょっと異様ではあるが(主役のナターシャを演じたナターリヤさんは、セット外の自宅から通っていたらしいが)。ある種の社会実験的な感じはする。

 引き合いに出されるのが、『ラストタンゴ・イン・パリ』のマーロン・ブランドとマリア・シュナイダーのセックスシーンがマリア・シュナイダーの同意を得ないレイプだったという事案なんだが、それとはまた違うのではないか。だったら、役者が了解さえしていれば何やってもええんか?って話になるだろうけど、その辺の線引きは難しいよね、ハッキリ言って。観客は撮影現場の裏話なんて分からないし。スクリーンで見ているものが全てなわけで。

 セックスや暴力シーンがなくても、例えば、大昔に今井美樹が、主演したドラマ(確か「想い出にかわるまで」だったと思う)の内容があまりにも辛く、私生活にかなりの影響が出たというようなエピソードを語っていた記憶があるが、役者が役を演じるってそういうことだと思う。ある程度、役に没入しなければ演じるなんて出来ないし、けれど、役者は生身の人間であって、役と本来の自分を切り分けられる訳じゃないから、程度の差はあれ影響されるのは仕方がないだろう。だからと言って、『ラストタンゴ~』の一件は言語道断であることに違いはないのであって、“人権を上回る意味のある演出”なんてものはない。

 ……ということで、DAU.プロジェクトは、まあ、面白いとは思うけど、パンフの監督インタビューなどを読んでも、あんましピンと来なかった。ソ連ってこんなだったんだね、へーー、という意味では見応えはある。近現代史の研究者とかなら意義を感じるんだろうけど、ただの映画好きにとっては、第二弾が仮に公開されても、すごく見に行きたいって感じではないかな。コロナが終息していれば、見に行くかもだけど。


◆これは本当に「過去」なのか?

 お話としては、カフェで働く中年女性が、若い同僚に嫉妬から意地悪したり、反面仲良くしたりと、あのような独裁監視社会でも人間の普遍的な営みは当然あって、でも、外国の学者と一夜の恋をしたらスパイ容疑をかけられて拷問された、、、、という、シャレにならない展開。

 ストーリー的には極めてシンプルです。

 プロジェクトとして、あらゆるものが当時のまんまだそうで、セットや衣装、食べ物などなど、ソ連時代はああいう風だったんだ~、というのが分かるのは面白い。意外に食べ物が豊富で、美味しそうに見えた。

 しかし、私は本作を見ながら考えていたのは、ここで描かれていることって、本当に過去のオハナシになっているのだろうか?ってことだった。今現在、少なくとも、ロシアから漏れてくるニュースだけでも、相当プーチンのやっていることはヤバいわけで、その実態となれば推して知るべしである。ということは、ここで描かれている、それこそ「衝撃的なバイオレンス」ってのは、今もロシアの内部で蠢いている暗い現実なんじゃないのかね? とか。想像力逞し過ぎるとは思わないのですが。

 ちなみに、終盤、ナターシャを拷問するKGBの役人を演じた男性は、ソ連時代、実際にKGBの大佐だったそうな。ウクライナ内務省で20年以上働き、囚人と刑務所職員の行動心理学の専門家として有名だったとか、、、。ひょえ~~~。本作撮影後の17年に亡くなっているとのこと。元KGB、まだまだ幅を利かせているんでしょうな、、、プーチンがいる限り。

 昨年行って、外から眺めたクレムリンは威厳があり美しかった。しかし、ソ連時代も、きっと同じように美しかったんだよね。……嘆息。

 

 

 

 

 

 

主人公のナターシャを演じるナターリヤさんは主婦だそうです。

 

 

 


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