映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

REPULSION/反撥(1965年)

2015-04-09 | 【は】



 異国の地ロンドンのエステサロンで働くキャロルは、若く美しい娘だが、どこか暗く人を寄せ付けない。そんなキャロルは、姉と2人でアパート暮らしをしているのだが、この姉がキャロルとは正反対のイケイケ姉さん。妻子ある男を引っ張り込んで夜な夜な喘ぎ声を響き渡らせているのであった。

 おまけに朝、トイレに行こうとしたら、なんとバスルームでは、その男が半裸で髭をそっているではないか! 男に免疫のないキャロルにとっては、衝撃の連続。キャロルはそんな状況に心落ち着かず、姉にそれとなく意見するが、姉は逆上し、10倍になって返ってくると、キャロルは言葉を呑み込んでしまう。

 そして、そうやって呑み込んだあんなこと、こんなことが溜まりに溜まった頃、姉は、キャロルの不安を顧みず、男と2週間近くの不倫旅行へ出掛けてしまう。その間に、キャロルがどうなるかも予期することなく、、、、。

 ぎゃ~~っ!!  
  

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 うーむ、ポランスキー、やっぱし天才だ。淫行歴があるのはいかんともしがたい汚点だが、この才能は、賞賛されてしかるべし。

 女子ってのは、女性になるまでの一時期、ある種の「男性拒絶期」みたいなのがあるんですよね。、、、って一般論化しちゃったけれど、多分そうなんだと思う。私は完璧にそうでした。私の場合は、いつからいつまで、みたいなのではなく、中学生から二十歳頃までの間に、間欠的にそういう「期」があったなぁ。父親を汚いだの臭いだの、というのは(多少あったが)ほとんど瞬間的なもので、むしろ、同年代の男子がキモかったり、世のお兄さん&おじさんたちがキモかったり、まあ、対象は男性全般でしたかね。

 その一方で、好きな男の子もちゃんといる訳です。ただ、そういう「期」の間は、好きな男子に対しても、なんつーか、汚らわし!っとか思っちゃって罪悪感にかられたり、でもスキンシップを妄想してウゲゲッとなったり、という、、、なんとも入り乱れた感覚でした。ハイ。

 これって、でも、そんだけ男性に興味津々だったことの裏返しなのよね、後から思えば。興味があったからこそ、そういう自分を拒絶していたんじゃないかな。まぁ、私も、人並みに、か、それ以上にかなり、か分かりませんが、男子に好奇心の塊であったわけです。

 で、恐らく、本作でのキャロルもそういう「期」にあったのだと思います。この「期」の正しいやり過ごし方を、私は存じませんが、それに、当人の性格も大いに関係あると思いますが、少なくとも、こういう期に、夜な夜な実のお姉さんの喘ぎ声を聴かされるのは、かなりヤバイと思います。実のお姉さん、ってのがミソです。これが、赤の他人の隣人のオバサンとかだったら、キャロルもここまで精神的に来なかったと思うのです。血のつながった姉が「あんなことしてるのか!?」と思うだけでウゲゲとなるのは想像に難くありません。母親が早世しているであろうキャロルにとって、姉は母親代わりだったはず。母親が「女全開」にしている際の声なんて、娘は聞きたくないですよ、ハッキリ言って。それを毎晩聴かされてりゃ、誰だっておかしくなりそうなもんです。

 キャロルのように内気で神経質な人は、恐らく妄想力も相当なモン(実際、本作でも妄想シーンが一杯出てきますが)なので、自分で自分を追い詰めちゃったところも大きいのでしょう。

 でも、最悪なのは、なんつってもあのお姉さんと、無神経な妻子持ち不倫男だね。ったく、妹と一つ屋根の下でようやるよ、と思うが、こういう男だからヘーキで不倫なんかするんだろうな、多分。

 本作で秀逸なのは、キャロルのセリフはほとんどないのに、どんどんキャロルがおかしくなっていく様が、実に不気味に描かれているところです。例えば、ウサギの肉。姉が料理し損ねたウサギの生肉を冷蔵庫から出してきて、偶然出しっぱなしになって、その肉がどんどん腐っていってハエがたかって、もうとんでもない臭気がこっちにまで漂って来そうな描写とか。途中から、そのウサギの首が切り落とされていて、、、(首はキャロルのバッグの中に、、、)。

 あとは、姉の愛人が脱ぎ捨てて行ったランニング。それを恐る恐る拾って臭いを嗅ごうとしてウゲゲとなったのに、別の日にはアイロンを当てている。しかも、そのアイロンはコンセントが外れている、、、。

 妄想シーンも怖い。姉を嫌悪しながらも姉を慕うキャロルは、姉が旅行に出掛けた後、姉のクローゼットから姉の服を当てて鏡を見ようとしたその鏡には・・・!!ギョッ、っとなりました。そして、壁のひび割れ。電気のスイッチを入れただけで壁が音を立ててひび割れる。挙句の果てには壁から手がいくつも出てきて彼女の体をまさぐろうとする。怖いよ~~!

 これ、モノクロなので、余計に怖いのです。そして、際立つカトリーヌ・ドヌーブの美しさ! 美女は狂っても美しいのだね。

 しかし、これ、ポランスキーにとっては長編2作目です。す、すごい。これに比べたら、『ローズマリーの赤ちゃん』なんてもの凄く直球勝負の素直なオカルト映画じゃありませんか。本作は、まさしく、ホラー映画。

 大人への過渡期の女性なら、誰もが陥り得るブラックホールに、キャロルは見事にハマってしまいました。もう、可哀想で仕方ないです。特に、ラスト、ベッドの下から出てくるキャロルの姿、、、。

 強いて難癖をつけるとすればラストショットですかね。キャロルがああなってしまったことの暗示なのだと思いますが、あれはちょっと蛇足かもです。途中に、しっかり映しているシーンがあるし、大家との会話でも話題に出てきますので、あれで十分だったかも、という気がします。あの辺が、ポランスキーの若さかも知れません。

 オープニングがイケてます。このオープニングからドキドキして惹き込まれます。あとはラストまでまっしぐら!! こぇぇ~~~っ!!




これぞ良質なホラー映画だ!!




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