映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

ゴジラ(1954年)

2014-07-23 | 【こ】

★★★★★★★★☆☆

 怪獣モノは基本的に大好物なんだけれども、ゴジラシリーズに関しては、あのエメリッヒ監督の『GODZILLA』(1998年)を何を思ったか劇場まで見に行ったほかは、ほとんどまともに見たことがなく、当然、第一作の本作も今回が初めて見るという次第。BSにてオンエアのデジタルリマスターで、画面は大変きれいです。

 もちろん、60年前の作品ですから、特撮技術は言うに及ばず、独特のセリフ回しや演出など、古さは嫌でも感じますが、でもそんなこんなを超越する圧倒的なパワーがあります、本作には。

 戦争が終わって、10年足らずという時代背景が如実に表れていることに、何というか、胸が締め付けられる思いがしました。全編にわたり、いたるところで先の戦争に関するセリフが出てきます。学者や政治家のセリフはともかく、市井の人々のセリフ、例えば、ゴジラについて電車内で語り合う若い女性の「せっかくナガサキから生き延びた身なのに」、街を破壊しまくるゴジラを前に幼子を両脇に抱えた母親の「もうすぐお父さんに会えるわよ」等々、、、。本作を制作した人々のほとばしる思いというか、書かずにおれない、言わずにおれない、そんな気持ちが伝わってくる気がしたのです。

 なにより、本作のゴジラは怖い。恐ろしい。正直、画面を正視できないところもあったほど。私の中で、ゴジラのイメージは怪獣だったわけで、怪獣は私にとっては怖くないのです。怪獣ってのは、そもそも、人間を標的にするっていうよりは、地球を、そして、それを退治するスーパーヒーローを標的にして現れるものだから、ダイレクトな怖さを感じないのね。しかし、このゴジラはその辺のフツーの人間を狙うんですよ。踏み潰す、焼き殺す、何のためらいもなく。まあ、怒っているのだから当たり前なんだけれども・・・。だから、オソロシイのです。

 ある新聞Aが、ゴジラ第一作について反戦メッセージを込めたものだという60周年特集記事を掲載していたんだけれども、集団的自衛権云々の折も折、その特集に対し別の新聞(と呼ぶのも抵抗があるが)Bが「何でもかんでも反戦・反核に結び付けるな」というコラムを載っけていました。本多監督自身も、反戦メッセージなど本作にはなく「戦後の暗い気分をアナーキーに壊しまくってくれる和製『キングコング』のような大怪獣映画」を目指していたんだとか・・・。まあ、真相は知りませんけれども、本作を見て「反戦・反核」を読み取って、文句言われる筋合い、あるんでしょうか。読み取らなくてももちろん結構ですが、読み取ったってヘンじゃないでしょう。監督がどういうつもりで撮ったか知りませんが、少なくとも、私は、この脚本を書いた人にそういう思いがなかったとは思えません。新聞Aが書くと、無駄に政治色を帯び、それに政府広報紙・・・じゃなかった新聞Bがお約束のように批判文を載せるという、、、あー、バカ丸出し。伊福部さんは、反核メッセージを読み取ってあの音楽を作った、という話は有名でしょ。

 まあ、強いて言えば、芹沢博士が山根博士の娘の元婚約者である必要性が感じられない、とか、山根博士は結局ゴジラ対策をなーんにも出来なかった、とか、尾形は本作で一体何したんだよ、とか、突っ込む箇所もあるにはあるけれど、そんなのは些末なことだと思えるくらい、本作は作る人々のパワーのこもった作品でした。伊福部音楽も、もちろんサイコー♪ この音楽でなければ、その後のシリーズ化もあったかどうか・・・。

 本作の制作に携わった全ての人々に敬意をこめて、★2つプラス。


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