映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

黒部の太陽(1968年)

2020-10-27 | 【く】

作品情報⇒https://movie.walkerplus.com/mv22183/

 

 言わずと知れた「黒部ダム」の難工事を描いた同名小説の映画化。


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 少し前に、たまたま見た「ブラタモリ」でタモリが訪れていたのが、黒部ダムでした。割とその内容が面白く、興味を持っていたところ、Luntaさんのブログを拝読し、見てみたくなった次第。長いし、画面が暗いとの評判で、眠くならないか心配したものの、眠くはなりませんでした。なりませんでしたが、、、


◆ダム工事映画やないの?

 まあ、ブラタモリでもさんざん「トンネルを掘るのがいかに大変だったか」と言われていたから分かってはいたが、本作は、ダム工事というより、トンネル掘りの映画だった。もちろん、ダムにも当時の技術の粋が集められているのだが、本作ではそっちはほぼ無視、“彼らはこうして破砕帯を突破した!!”ということのみがフォーカスされ、延々描かれている映画だった。

 本作には、テレビ放映用にカットされたバージョンもあるらしいのだが、完全版は196分、、、つまり、3時間以上。正直、これだけの時間をかける必要があったのか、少々疑問。暗がりの、代わり映えのしない背景のシーンが延々3時間ってねぇ。

 だからだろうが、主役2人(三船&裕次郎)の家族の話とかのサイドストーリーも必要なのは分かるが、なくてもよかったような気がする。三船演ずる北川の娘が白血病になる、、、という展開は、ちょっとなぁ、、、と思ってしまったが(難病ものアレルギーなんで)、北川のモデルとなった芳賀公介氏のご家族の実話だとか(とあるブロガーの方の記事による)。……まぁ、本当に実話だとしても、やはりなくても良かったんじゃないか、と思う。原作小説にもあるんだろう、多分。

 ただ、撮影エピソードを知ると、それはそれは大変だったみたいだから、あんまし“いらんシーン”などと言うのも心苦しくはある。……あるが、映画作品として見た場合、やっぱりちょっと、制作側の自己満足感は否めないよなぁ。

 三船と裕次郎の事務所が提携しての共同制作ってことで、当時としては撮影以外の面でも難しかったらしいから、まあ、そんなこんなを乗り越えて完成させることが出来て良かったね、、、とは本心から思うが、そんなビッグプロジェクトを組む映画には不向きな材料を扱ってしまったんじゃない?ってのも正直なところ。もう少し、起伏の出しやすい題材を選ぶべきだったような。

 興行的にも、失敗とまではいわなくとも、大ヒットとは言い難いようだし。……だって、つまんないもんね、ハッキリ言って。話題性だけで、そこそこの客を動員できても、打ち上げ花火みたいなものだから。危険で困難極まる工事シーンを、「こんなにタイヘンだったんだゼ!」と見せられても、見ている方としては、あれもこれもそれもほとんど同じ画にしか見えんわけです、残念ながら。途中でナレーションの解説が入るものの、何がどう難しいのか、実感として分かりにくい。画面からはひたすら大変そうなことだけが伝わってくる。

 これは、シナリオとディレクションのミスでしょう。長い映画ってのは、気合いが空回りしがちだけれど、本作もその轍を踏んでしまっている。


◆三船&裕次郎

 でも、さすがだと思ったのは、やはり三船敏郎。いるだけで画が締まるというのは、こういう役者さんのことを言うのだろう。破砕帯を突破したシーンや、遂にトンネルが貫通した場面での感極まったスピーチは、本作での数少ない見せ場だった。

 おかげで、もう一人の主役のはずの裕次郎は思いっきり喰われていた。

 ……というか、裕次郎がこんなに神話化しているのも不思議なんだが、存命中から、彼の何がそんなに魅力なのか、さっぱり理解できなかった。本作を見ても、その疑問は解消されなかった。演技も、、、さほど巧いとも思えず。ルックスも、、、そりゃあ、当時としちゃ背が高くて脚が長かったのかも知らんが、10歳年上の三船と並んでも、三船の方が圧倒的な存在感だしカッコイイ(裕次郎ファンの皆さま、すみません)。

 彼の出演映画は、(多分)本作以外見たことないが、TVドラマなら「太陽にほえろ」「西部警察」あたりを再放送で何度も見た。もうその頃の裕次郎は、子供の私にとっては既にどこから見ても“オッサン”でしかなく、顔がイイとも、全体にカッコイイとも思えなかった(当時の私のお気に入りは篠田三郎だった、、、)。

 本作を撮影した頃の彼の実年齢を超えた今見ても、演技が素晴らしく良いとも思えないし、やっぱり彼の魅力は謎のまま、、、。今、彼の若い頃の映画を見てみれば少しは分かるのかしらん。

 彼は本作の撮影中にかなりの怪我をしているらしい。トンネル工事シーンはCGナシで全てセットでの実写だなんて、ちょっと想像を絶する。まあ、内容はともかく……というのも失礼だが、邦画史に残る作品ではあるだろうし、そういう作品をプロデュースし、自ら主演した、っていう意義は大きいと思う。
 
 なんだか、とってつけたようなフォローで終わるのもナンだが、感想終わります。

 

 

 

 

 

 

一度は行ってみたい、黒部ダム。

 

 

 


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コメント (4)
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