映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

運び屋 (2018年)

2019-11-16 | 【は】

作品情報⇒https://movie.walkerplus.com/mv66413/

 

以下、上記リンクよりあらすじのコピペです。

=====ここから。

 孤独な90歳の老人アールは、商売に失敗し、自宅も差し押さえられそうになった時、車の運転さえすればいいという仕事を持ちかけられる。

 簡単な仕事ならと引き受けたものの、それはメキシコの麻薬カルテルの“運び屋”という危険な仕事で、アールはそうとは知らずに仕事を始める。

=====ここまで。

 

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 俳優引退!と言っていたイーストウッド。そんなの寂しいヨ、、、と思う半面、いや、あのじーさんならまたいつか表に出てくるはず、、、と思っていた。……ら、ホントに出て来たよ、表に!! 劇場に行こうか迷っているうちに終映してしまったので、このほどDVDでようやっと見ましたとさ。

 

◆イースドウッド自身の懺悔映画

 イーストウッドの監督作はおおむねダメなんだが、本作は珍しく“抵抗なく”見ることが出来た気がする。麻薬犯罪が背景になっているけど、まあ、主眼は“家族”だからね。いつ、麻薬組織がアール爺さんに牙を剥くかと思って冷や冷やしながら見ていたけど、杞憂に終わった。

 実に実に平和な犯罪映画。……って何かヘンだけど、でもそうだったんだから仕方がない。安易な感じもするけど、まあ、こういうのも良いんじゃないのかしら、って感じ。

 アール爺さんが何回運び屋やっているのか、その度に字幕が出るんだけど、フツーなら、運び屋稼業に飽き足らなくなって何かよからぬことをやっちまって、、、っていう展開になるかと想像するけど、10回超えても、基本的にアール爺さんは余計なことはしない。せいぜい、砂漠の真ん中でタイヤがパンクした家族の車のタイヤ交換を手伝ってやるくらいなもん。非常に業務に忠実かつ確実なんである。そりゃ、麻薬組織の信用が高くなるのも理解できる。

 しかし、、、やっぱしイーストウッドってマッチョよね。まぁ、ダーティハリーなんかからしてマチズモ全開だったんだから、彼の人生をマッチョが貫いている、とも言えるが。前回の『グラン・トリノ』でもそうだったが、平気で差別的発言を、その当事者に向かってしてしまう辺り、トランプとイイ勝負。あんなヨボヨボになっても、女たちとお楽しみシーンを外さないところも、イーストウッドの素じゃないかね、あれは。

 彼自身の懺悔映画みたいなものかな~、と思いながら見ていた。本作が公開時に、新聞にイーストウッドのインタビュー記事が出ていたんだが、自身のプライベートを振り返って「反省していることもある」なーんて言っていて、むしろビックリ。反省するんだ!? みたいな。何を反省しているのかしらん。

 家庭を顧みなかったアールは、死の床にある元妻を看取るために、麻薬組織の鉄壁の掟を破って元妻のところへ駆けつける。ここでの元夫婦の会話が結構イイ。あのくらいの歳になれば、過去のあれやこれやも“そんなこともあったねぇ~”って感じになれるのか。元妻は、アールのことを今でも愛している、という設定になっていたけど、どうにもこうにもアールに都合良過ぎじゃない?と思っちゃうのは私だけしらん。命の危険と引き換えに、妻への罪滅ぼしをしたんだから、許されても良いだろう、、、と世の多くの人は思うんだろうか? 私も、あれくらいまで長生きしたら、色んなことを達観できるようになるんだろうか????? 

 でも、イーストウッド自身は過去の女性たちに許されたんですかね? 彼を訴えていたソンドラ・ロックは亡くなってしまったし。最初の奥様はご存命なのかな?? ソンドラ・ロックには相当ヒドいことをしていたみたいだから、現実はそんな甘くないと思うけどねぇ。

 一つ疑問だったのは、アールが死にそうな元妻の所へ行っている間、麻薬組織は彼のことを血眼になって探しているんだが、そんなもん、車かケータイかブツにGPS仕込んどくモンじゃないの?フツー、、、と思ったんだけど、どーなの?? あんなことあり得るのか、イマドキ。30年前なら分かるけど、、、。

 

◆ヨボヨボイーストウッドとかいろいろ。

 それにしても、さすがのイーストウッドも、もう“歳取った”なんてもんじゃなくて、“ヨボヨボ”だった。曲がった背中の後ろ姿は、ハリー・キャラハンを愛している者にとってはかなり切ないものがある。とはいえ、スーツを着れば、やっぱりそれなりにキマッているし、あんな90歳、まぁそんじょそこらにはいないことは確か。

 あと、音楽が良かった。彼の映画は音楽が良いのが多い。さすが、マニアを自称するだけのことはある。

 なんだかんだ言っても、彼は、非常に恵まれた老人なのではないだろうか。悠々自適に過ごせるだけの資力もあり、ヨボヨボになったとはいえ健康だし(多分)、何より必要としてくれる人々がいて、彼の出ている映画を喜んで見ている人たちがいて、皆に尊敬されて、、、。それで彼が幸せなのかどうかは分からんが、あんな年寄りにならなっても良い、、、と思うんじゃないかしらね、多くの人は。

 特典映像で出演者たちのインタビューを見たけど、みんなイーストウッドを褒めちぎっていて、ちょっと不気味ですらあった。あんな場面で悪口なんか言うはずはないが、それにしたって、みんな褒めると言うより、崇めている感じなんだもんね。

 まあ、彼はこの後にも監督した作品が公開待ちみたいだから、恐るべき90歳である。

 ブラッドリー・クーパーは、相変わらず男前だし、重要な役どころではあるけど、ほとんど見せ場のないまま終わってしまった感じ。強いて言えば、朝のダイナーでアールと偶然会ってしみじみ会話を交わすシーンくらいかな。あとはラストと。

 麻薬組織のドンで、途中で子分に殺されちゃうラトンを演じていたのが、アンディ・ガルシアだったのがビックリ。エンディングの字幕見て、初めて知ったわ。ゼンゼン分からなかったよ、、、。彼は私の中では、『アンタッチャブル』『ゴッドファーザーPART3』のままで止まっている、、、。実際、彼のその後の出演作、1本も見ていない気がする。

 ラストとかもかなり甘いので、ちょっとなぁ、、、という感じはかなりあるけど、まあ、イーストウッドだからいっか……! と思っちゃう私は、やっぱしまだ彼を愛しているってことかしらね。

 

 

 

 

 

イーストウッド、100歳まで生きると思う。

 

 

 

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