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映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

ブルージャスミン(2013年)

2015-03-07 | 【ふ】



 富豪の夫との関係が破綻して没落セレブとなったジャスミン(ケイト・ブランシェット)は、たった一人の妹を頼ってニューヨークから、はるばる西海岸のサンフランシスコまでやってくる。ヴィトンのでっかいスーツケースをいくつも引っさげて・・・。

 なーんだ、、、これは、現代版『欲望という名の電車』じゃんね。
  

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 ガンガン宣伝していたのは見ていたけど、あんましそそられなかったので劇場へは行かず・・・。そうしたら、友人が見に行っていて「良かったよ~」と言っていたので、じゃあDVD鑑賞でもするか、と思って見てみた次第。あんだけ予告を見ていたのに、予備知識ほぼゼロで見たんですけれども、これ、ウディ・アレンが監督してたんですねー。

 まあ、のっけからケイト・ブランシェット演ずるジャスミンがイッちゃってるのは分かるので、これはツラい。

 大学中退して、一度も働いたことなく、贅沢三昧の生活をしていた女。これほど、世間で使い物にならない存在ってあるでしょーか。大学は卒業していなくても行ったことがあるから「高卒」ではないというプライド、働いたことがないというMax世間知らず、贅沢三昧を「人の金」=「夫の稼いだ金」によってしてしまったために金とはどこかから自然に降ってくるものだと勘違いしているオメデタぶり、こんな三拍子そろった人間、どーすりゃいいのさ。

 そんな、どーしようもないジャスミンが自立の手段に選んだ資格が、これまた、ものすごく「らしい」選択で、笑えるどころかドン引きしました。はい、その資格とは、い・ん・て・り・あ・こーぢねーたー、でございます。うー、これほど、彼女のプライドを傷付けず、「それっぽい」オシゴトってあるでしょーか、、、いや、ない。ウディ・アレン、さすが、、、。

 もちろん、上手くいくはずありません。なにせ、パソコンもろくに使えないのですからね、イマドキ。

 (余談ですが、セレブじゃないけど幸せ一杯の生活から夫婦関係が破綻して、一気にどん底に突き落とされる、という話としては『微笑みをもう一度』という駄作映画と共通していますが、あっちは、もう、ホントにあまりに頭の悪い映画でイヤになりましたが、そういう意味では、本作の方が百倍リアリティがあると思いますね。ま、ホントに余談なんですが・・・)

 で、ジャスミンに執拗に辛く当たるのが、妹の恋人チリですが、コイツがまたウザイというか、嫌らしい。確かに、ジャスミンを見てりゃイラつくのは分かりますが、お前がそこまで彼女を罵る権利はねぇだろ、と言いたくなるのよ。しかも、顔が濃くて暑苦しい、、、。うー、ウザっ。

 そう、この構図は、あの『欲望という名の電車』のまんまでござんした。もっとも、『欲望~』の方がジメッと暗くて陰湿ですけどね。マーロン・ブランドが演じたスタンリーに比べりゃ、チリなんて、まだまだ甘い。でもって、ジャスミンも、ブランチに比べればまだまだマトモ。

 まあ、途中、ヒロインが別の男との結婚に活路を見出そうとするところとか、ラストに救いがないところも、まんま同じです。

 『欲望という名の電車』は、私は、正直言って嫌いな映画でして、それは、登場人物誰にも共感できなかったからなんだけれど、今回、この『ブルージャスミン』は、それほど嫌悪感は抱きませんでした。、、、はて、何でだろう。と、自分なりに考えてみました。

 まず、ヒロインのジャスミンが、ブランチよりも、まだ可愛げがあるような気がします。ブランチは、もっともっとエキセントリックで、なおかつ妹への気遣いなどまるでなかったですもんね。それに比べれば、ジャスミンはまだ、居候には違いないけれど一応バイトにも行くし、社交の場に自ら出ようと、能動的な部分を垣間見せます。

 あと、ヒロインの妹の描き方です。ジャスミンの妹ジンジャー(サリー・ホーキンス)は、ブランチの妹ステラより、よっぽどだらしないし、スキだらけの、まあ蓮っ葉おばさんです。ステラみたいに、ちょっと大人しそうな控えめっぽい感じではゼンゼンありません。だから、ジャスミンのイカレっぷりが緩和されているのだと思います。

 あと、出てくる男がどいつもこいつも、まるで魅力がないヤツばかりで、正直、反吐が出そうでした。ジャスミンの元夫も拝金イカサマ野郎だし、新たに出会った政治家の卵は妻をパートナーではなく自分のお飾りとしか見ていない男尊女卑野郎だし、義理の息子もエキセントリックな自己陶酔野郎で、一体どーなってんのさ、と思っちゃう。こんな奴ら、纏めて捨ててやりゃぁいいんだよ、ジャスミン!!

 ・・・とエールを送りたいけれども、肝心のジャスミンは自立を知らないだけでなく、男を見る目がまるでないおバカ女なので、もう、お手上げです、ハイ。

 そりゃ、『欲望~』の時代なら、女性が自立するのは今よりかなりキビシイだろうから、ブランチみたいな女性は、ある意味、時代の徒花として、まだしもその存在が認められていたでしょうが、現代においてそりゃアカンでしょ。

 オメデタイ思考回路とはいえ、とりあえずインテリア・コーディネーターとして自立しようと一念発起したのに、ちょっと条件の良い男が現れると、途端にそいつにすがりつこうとするジャスミンお姉さま。こういう人って、学習能力がないんだろうね、多分。自分の力で何かをする目先の大変さより、カネがどこからか降ってくるであろう何の保証もない未来が、彼女には明るく見える訳だ。だからこそ、ああいうラストになる訳だ。そう、ウディ・アレンの選択は、正しい。

 でも、私は、やはりジャスミンが気の毒でならない・・・。彼女の今後を思うと、胸が痛い。何とか、彼女を救う道はないのだろうか・・・。やっぱり、金満男しか、彼女がすがるものはないのだろうか。彼女が自分の足で立つ日は、永遠に来ないのだろうか・・・。

 神様、どうか、彼女に自立の機会をお与えください。・・・ま、その前に彼女の精神状態を治すのが先ですが。



稼ぎが良いからって、そんなヤツに自分の全人生預けちゃって大丈夫?




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