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江戸繁昌記初篇 58 日本橋魚市 1

(散歩道のツワブキ)

散歩道に咲くツワブキがある。しばらく前から次々に咲いている。我が庭にもツワブキがあるはずだが、まだ今年は花を見ない。足摺岬手前の遍路道に林の中に点々とツワブキの花を見たことを思い出した。今朝、次郎柿(甘柿)の干柿、24個追加して干した(計40個)。快晴の日差しの中、一日で随分進んだと思う。

早朝、ラグビーワールドカップ、日本対アメリカ戦をテレビ観戦した。余裕を以って勝った。身体的に劣る相手に対して、堂々と勝利を収める、日本も強くなったものである。ただ、結果は、予選を3勝1敗ながら、予選落ちした。

「江戸繁昌記初篇」の解読を続ける。

     日本橋魚市
日本橋は江戸の中央に当る。一都の太極、両岸剖分、四方の道程、これより算し出し、八方の人戸、これより連なり建つ。六十四州、人民の聚(あつま)る。始めてこの都に入りて、始めてこの橋を過ぐる。
※ 太極(たいきょく)- すべての物の実在を規定する唯一の根元。
※ 剖分(ぼうぶん)- 分割。


左顧右眄、眼駭(おどろ)き、気奪わる。何を以てか眼駭く。西は則ち、金城突兀譙楼空に聳ゆ。何を以って気奪わる。東は則ち、酒庫(酒蔵)数万、碧尾蜓々、白壁連接、正にこれ万里の長城。魚船、相啣集して橋下に泊す。苫篷鱗次、脚下にまた一面の劇街を見る。橋上雑鬨公侯の長槍来往、林の如し。況んや諸凡の履舃屨屐、夜間丑寅の交、跫然、或は少く、絶ゆると云う。
※ 左顧右眄(さこうべん)- 左を見たり右を見たりすること。
※ 金城(きんじょう)- 守りの固い城。堅固な城。ここでは江戸城を示す。
※ 突兀(とっこつ)- 高く突き出ているさま。高くそびえるさま。
※ 譙楼(しょうろう)- 敵のようすをさぐるために、城門の上にたてた高殿。
※ 碧尾蜓々(へきびえんえん)- 酒蔵の屋根が延々と連なっているさま。
※ 啣集(がんしゅう)- くつわを並べて集ること。
※ 苫篷(せんほう)- 「苫」も「篷」も、菅や茅などを粗く編んだむしろ。 和船や家屋を覆って雨露をしのぐのに用いる。
※ 鱗次(りんじ)- うろこのように並びつづくさま。
※ 劇街(げきがい)- 芝居小屋の集る町。
※ 雑鬨(ざっこう)- 諸々の歓声。
※ 公侯の長槍 - 「とのさまのおやり」とルビあり。
※ 履舃屨屐(りせきく)- 「履」は「木や布で作った靴」。「舃」は「奈良時代に男女がはいた『履』のことで、爪先が高くなっている」。「屨」は「藁や麻で編んだ靴型のわらじ」。「屐」は「木のくつ」。いずれも履物を並べて、雑踏の様子を表した。
※ 丑寅(うしとら)- 午前2時~4時。
※ 跫然(きょうぜん)- 人の足音がするさま。


遠豆相房両総の船、魚艚(おしおくり)織るが如く、川狹く舟夥し。張歙、相呼び、舟腹相摩(こ)する。その搶壊せざるもの、纔かに一髪の間を以ってす。土俗の鮮食を嗜(たしな)み、常に言う、三日肉食せざれば、骨皆な離ると。毎日幾万の水族、これを荏戸(江戸)において、人の腹中に葬る。
※ 遠豆相房両総(えんずそうぼうりょうそう)- 遠江、伊豆、相模、安房、上総、下総。
※ 魚艚(ぎょそう)-「おしおくり」とルビあり。「押し送り船」は、帆をあまり使わず、数人で櫓をこいで進める船。特に、とれた魚類を魚市場に運んでいた早船。
※ 張歙(ちょうきゅう)- おもかじ(右)ととりかじ(左)。細かく操船する様子。
※ 搶壊(そうかい)- つきこわす。
※ 土俗(どぞく)- その土地の住民。
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