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「壺石文」 上 19 (旧)七月十日(つづき)

(裏の畑のアルストロメリア)

アルストロメリアはヒガンバナ科の球根植物で、ブラジル原産。六月頃に咲く。この花は少し早めである。和名では百合水仙と呼ばれる。女房が球根を頂いて、畑の隅に植えたものであろう。去年も咲いていた。

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「壺石文 上」の解読を続ける。

(昨日の続き「駱駝の長歌」)

  天地は、真広きかも、時代は、豊けきかも、
  豊けかる、時にしあれば、真広なる、世にし住まへば、
  そじしの、唐の国ゆも、そらみつ大和島根に、
  千万(ちよろず)の、物ら舞い来て、
  うつそみ(うつせみ)の、今の現に
  人皆の、恵みともしみ、もてあそ(弄)ぶ、物は多けど、
  らくだちう、これの獣(けもの)は、
  馬に似て、馬にもあらず、牛に似て、牛にもあらず、
  丈高く、太く大きく、首長く、尾ぶさ短かく、
  なよ竹の、四つの蹄(ひづめ)は、玉くしげ、二つに割れて、
  真砂路に、跡踏み留め、喘ぎつゝ、か行きかく行き
  とみこうみ、目をあどもいて豊けげに、遊ぼう見れば、
  唐国も、よりて(つか)うる、君が御代かも

※ そじし - 背筋 (せすじ) の肉。
※ そじしの空国(そしじのからくに)-(背中には肉は少ないところから)肥沃でない土地。(空国 ⇒ 唐国)。
※ そらみつ - 「大和(やまと)」に掛かる枕詞。
※ 大和島根(やまとしまね)- 日本国の別名。「やまとしま」に同じ。
※ うつそみ(うつせみ)- この世。
※ 今の現に(いまのおつつに)- ただ今現在も。
※ ともしむ(羨しむ)- うらやましがらせる。
※ ぶさ - 不細工。
※ なよ竹の -(枕詞)しなやかな竹の節(よ)(=ふし)の意で、「よ」と同音の「夜」「世」などにかかる。ここでは、「四」にかかる。
※ 玉くしげ - 櫛などの化粧道具を入れる美しい箱。(枕詞)くしげには蓋があることから「二(ふた)」に掛かる。
※ 真砂路(まさごじ)- 海岸などの、砂地の道。
※ か行きかく行き - 行き来して。
※ とみこうみ(左見右見)- あっちを見たり、こっちを見たりすること。また、あちこち様子をうかがうこと。
※ あどもいて - ひきつれて。(観衆の目を)
※ 豊け(ゆたけ)- ゆったりしている。
※ 事うる(つかうる)- 仕える。付き添って世話をする。
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