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「天澤寺殿三百年記録」を読む 2

(裏の畑のフキノハナ)

フキノトウの収穫も頭の隅にあったのだが、気付いてみたらフキノハナの花盛りになっていた。こうなってはもう食用にはならない。次は裏の畑のタラの芽を忘れないようにしよう。

今朝から雨、久し振りにまとまって降った気がする。一雨毎に春が近付いて来る実感がある。何よりも、雨の日は花粉症には有難い。

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「天澤寺殿三百年記録」の解読を続ける。

(「口上の覚え」つづき)

一 今川家より、御寄附領三千石、御座候処、両度の兵火にて、物変り、星移り、壱度は信玄、壱度は神祖(家康)、勅命に仍って再建成し下され、則ち、神祖より、領三千石、下し置かれ候えども、住持鉄山、御請け申さず。その後、三代目東谷代に成らさせられ、高百石、山林諸役など御免の御朱印下し置かれ候に付、五ヶ年目年頭、御白書院にて御礼申し上げ候。右に付、向後(きょうこう)、参府の節は御伺いも申し上げたく、かつ来る未(ひつじ)年、御遠忌の節、前書に申し上げ候通り、御代香御指し向け下され候様、存じ奉り候、以上。
   午九月            駿府臨済寺代
                      富春院
※ 住持(じゅうじ)- 寺の住職のこと。
※ 白書院(しろしょいん)- 桧の白木造りを主とし、漆塗りをしていない書院。江戸城の将軍の応接間で、白書院は公的な行事に使用。(黒書院は日常的な行事に使用)


なお、右の書面は、先師裕道養源、南明長老へ、頼み置きこれ有り、昨末秋、観溪出府の節、相認む。富春院代の義は、養源へ頼み置き帰国。公家六角殿より通達、これは養源、心安き故なり。当正月、養源、駿河守殿へ参られ、今川家よりも、養源へ使者参り候様子なり。已後(いご)、年頭、寒暑、書翰往復の筈に、今般の代香に至り置き候なり。もっとも江戸出駕の節は参ずべき事なり。
※ 末秋(まっしゅう)- 三秋のなかの末の意。(三秋は、初秋、仲秋、晩秋)
※ 出駕(れい)- 貴人が駕籠などで外出すること。また、貴人の外出。


四月十六日、遠州中泉御代官、今川要作殿より、序(つい)でを以って、銀壱枚義元公へ納め、請け取り左に、

      覚え
  一 白銀   壱枚
  右は天澤寺殿御回向料として、
  御贈り下され、慥かに収納、
  御備え仕るべく候、以上。
   四月十六日 駿府
          臨済寺
           役寮 大龍
    今川要作様
     御用人衆中
※ 白銀(はくぎん)- 江戸時代、白紙に包んで贈答用に用いた楕円形の銀貨。通用銀の三分にあたる。
※ 回向(えこう)- 死者の成仏を願って仏事供養をすること。
※ 役寮(やくりょう)- 修行僧を指導する老師。


奉書半切りにかく認む。今川殿は御目見以下の人に御座候えども、近々に御代官に付、御目見以上に御座候。
※ 御目見(おめみえ)- 江戸時代、将軍に謁見する資格のある者。旗本がこれに相当する。


読書:「ばけばけ」 那須正幹 著
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