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「駿河安蘇備 上」を読む 60

静岡城北公園の小さな池にカワウが飛来
慌ててシャッターを切るも、後ろ姿しか撮れず

午後、駿河古文書会に出席した。今日は節分、昼に一本の恵方巻を切り分けて食べ、夕方、簡単に豆まきする。夜は久しぶりにスキヤキ。

「駿河安蘇備」の上巻の解読を続ける。

一 丸山寺 賎機山の麓なり。秋月山福田寺という。
慶長の頃、御放鷹の時、この所に休らい給いて、向うの山々を
尋ね問わせ給いしかば、折ふし、後藤庄三郎光次、御側にありて、東に
当りて見ゆるは、八幡山、清水、愛宕山など申し上げければ、都の丸山に
景色のさも似たりと宣い、それより命を蒙りて、光次、京都より
丸山の寺僧、徳軒を呼び下し、一寺建立あらせられ、都の名に
よりて、この所をも丸山と称しぬ。後藤、檀越となりぬ。その翌年、慶長
※ 檀越(だんおつ)➜ 寺や僧に布施をする信者。檀那。檀家。
年中、九月十三日、またこの処に御猟の折柄、この寺に入らせられ、
(いこ)い給い、一首の高詠を残し給いしより、秋月山福田寺と号せる
よし。その時の御詠草とて、今に什物とす。
※ 詠草(えいそう)➜ 作ったり詠じたりした和歌や俳諧。
※ 什物(じゅうもつ)➜代々伝わった宝。秘蔵の宝物。
  松高き 丸山寺の 流れの井
    幾年(いくとせ)澄める 秋の夜の月
この御詠草の筆、女筆なりという。お阿茶の方の筆跡と言い伝う。また
流れの井とて、谷水滴(したた)りて、聊(いささ)かの山の井あり。至って清し。石の碑あり。
宝暦三年癸酉秋八月、東都源師道識併書と見えたり。
(つづく)

読書:「神隠しの少女 日暮左近事件控 8」 藤井邦夫 著
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