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「江戸繁昌記 三編」を読む 63

(庭のムラサキクンシラン)

明日は駿河古文書会の発表当番に当っている。次回と2回連続である。課題の「相良藩、本多越中守の転封関係の古文書も、四回目と五回目になる。前回から資料の文字を12ポイントから14ポイントに大きくして、随分見やすくなった。

解読して終わりでは、余りに寂しいから、調査に出かけた田沼史料館の学芸員さんとのやり取りなど、少し雑談に入れよう。また、解読に出て来る「村々廻状順帳」、掛川藩のものであるが、コピーが手に入ったので見てもらおう。時間が余ったら読むつもりの古文書も準備した。

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「江戸繁昌記 三編」の解読を続ける。「愛宕」の続き。店は陶器店から玩具店に移る。

瓷瓶連らね懸けて幕を作し、陶碗積み畜(たくわ)えて壁を作す。花様盤、花餐(さん)すべく、碧紋盆、碧掬(きく)すべし。酒壺、花瓢(ふくべ)、水甕、火桶、琭々たり、瑰々たり。
※ 瓷瓶(しびん)- きめの細かいかたい陶器の瓶。
※ 花様(かよう)- 花模様。
※ 碧紋(へきもん)- 青い模様。
※ 碌々(ろくろく)- 玉のごろごろ転がるさま。
※ 瑰々(かいかい)- めずらしくすぐれているさま。


手代中間に坐し、紙掃(サイハイ)を執りて客に接す。近世磁器の極み、庭燈籠を造り、小便桶を製す。二傖父(たたず)み観る。一箇(一人)、桶を指して曰う、花瓶許(かく)の如く長大、蓋し、侯家の物ならん。一箇、これを(こう)て、低声して曰う、叱(し)っ、密にせよ、また溲桶のみ。
※ 紙掃(さいはい)- 采配。「采配を執る」は、陣頭に立って指図をする、指揮するの意。
※ 傖父(そうふ)- いなかおやじ。 いなかもの。
※ 侯家(こうけ)- 大名家。
※ 肱す(こうす)- 肱打ちして知らせる。
※ 溲桶(しとう)- 小便桶。


紙糊(ハリコ)土偶(ニンギョウ)、粉墨を施し、錦綺を衣せ、裸雛娘(ハダカニンギョウ)並び坐し、細妓女(マメニンギョウ)連らなり立つ。力士を張り、達摩面壁し、虎の頭、風に掉(ふる)い、獅子花に戯れる。丹鶴(たんかく)舞い、玄亀潜ぐり、笛を束ね、鼓を累す。麗しき春を剪(き)り、粲(あざや)かな秋を織る。鬼面の(どう)に、狐面は妖なり。
※ 粉墨(ふんぼく)- 白粉(おしろい)と眉墨(まゆずみ)。
※ 錦綺(きんき)- にしきとあやぎぬ。
※ 臂(ひ)- 腕。
※ 面壁(めんへき)- 壁に向かって座禅すること。
※ 虎の頭(とらのかしら)- 張り子の虎の頭。
※ 玄亀(げんき)- 黒い亀。
※ 獰(どう)- 性質が悪くて強い。にくにくしい。
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