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「江戸繁昌記 三編」を読む 56

(掛川中央図書館近所のユリ)

午後、掛川の古文書講座出席のため、掛川中央図書館に行く。

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「江戸繁昌記 三編」の解読を続ける。

    愛宕
江城の南、突兀、山有り。愛宕と曰う。深樹、腰を繞(まと)いて、閑雲、口より出づ。石級二道、峻なるものを男坂と曰う。(う)なるものを女坂と曰う。並びに東より上る。男(坂)は、則ち、半身(はんみ)を以って上る。鐺(くさり)を下げて、攀(よじのぼ)るを援(たす)く。直(じか)に知るべし。
※ 江城(こうじょう)- 江戸城。
※ 突兀(とっこつ)- 高く突き出ているさま。高くそびえるさま。
※ 閑雲(かんうん)- ゆったりと空に浮かぶ雲。
※ 石級(せっきゅう)- 石の階段。石段。
※ 迂(う)- 遠回りする。


東面、茶店数(えん)、峰に架(か)して、葺きを起こす。遠望豁達、人をして魂飛ばしむ。邸舎廻離坊巷條逵、盡(ことごと)く、目下に萃(あつま)る。桝枰また似たり。田嚋また似たり。朱門白壁、棊峙相連らなり、高楼台榭、稲穂争い秀(ひい)づ。
※ 椽(えん)- 家屋の外縁の、板敷きの部分。
※ 葺く(ふく)- 板・茅・瓦などで屋根をおおう。
※ 豁達(かったつ)- 空間が広々と開けているさま。
※ 邸舎(ていしゃ)- 客商の貨物を預かる営業倉庫。旅宿。
※ 廻離(かいり)- まわりに並ぶこと。
※ 坊巷(ぼうこう)- ちまた。町中。市街。
※ 條逵(じょうつじ)- 道筋や辻。
※ 桝枰(しょうへい)- 碁盤。
※ 田疇(でんちゅう)- 田畑のあぜ。
※ 棊峙(きじ)- 盤上の碁石が黒白相対するように、 英雄などが割拠して相対していること。
※ 台榭(だいしゃ)- 中国、古代の高台式建築。


(色)を玩(めで)て、闌(らん、=てすり)に倚(よ)る者、頭を並べ手を(るい)。遠鏡(とおめがね)を窺う者あり。曰う、北方の山、近くして黒きは忍岡なり。遠くて翠(みどり)なるは筑波なり。前後二道、白くして明なるは、利根、隅田の二水なり。聳ゆるは鴻台なり。平なるは葛西なり。
※ 累す(るいす)- かさねる。
※ 忍岡(しのぶがおか)- 東京都台東区の上野台地の異称。現在の上野公園一帯。
※ 鴻台(こうのだい)- 下総国の国府が置かれた台地(現,千葉県市川市)をいう。
※ 葛西(かさい)- 東京都江戸川区南部の地名。東京都葛飾区および江戸川区南部の地域。


読書:「珈琲屋の人々 ちっぽけな恋」 池永陽 著
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