goo

ダイニング犬になったムサシ

(ムサシはダイニングの寝床に)

今朝のこと。出勤で送って出た女房が、その間ちょっと目を離した隙に、ダイニングにいたムサシが食卓に足を掛けて、包み紙の上で幾つかに切り割った愛宕下羊羹を包み紙さら、床へ落としてしまった。

愛宕下羊羹は日曜日に遠州横須賀に行ったときに買ってきたもので、横須賀に行くといつも買って帰る。高級な本格的な羊羹だけれども、そんなに高くない。

ムサシは羊羹など食べたことがないから、成り行きに驚いて、ワンワンワン‥‥、女房が戻ると、羊羹に向かって吠えていた。歯型が付いているようではなかったので、その羊羹は洗って冷蔵庫へ入れておき、今夜自分たちのお腹に納まった。

最近、ダイニングキッチンまでムサシの住居エリアが拡がって、時にはそこで寝起きして、朝起きるとムサシがダイニングにいることが多くなった。朝食をしていると、すぐ脇に座って何とかおこぼれに預かりたいと、じっと自分の口のあたりを見る。しかし、食事の中でムサシにやれるようなものはない。というより、女房に禁じられているから、愛想がないことになる。無視して新聞を見ていると、ワンワンと吠える。顔を隠されるとムサシは不安になるのであろう。ダイニングに上げてやる条件として、そこでは吠えてはならないと決められていて、女房が声を荒立てて叱る。酷いときは勝手口の土間へ出される。

ムサシは朝夕の散歩の時以外には大小の便をしない。じっと我慢している。潔癖なのはよいが、便がゆるいときなどは夜であっても騒ぐから、短い距離でも散歩の真似事をしなければならない。シャンプーも自分の散髪より頻繁に行っている。もちろん料金は自分の散髪代より高い。そんな風だから、我が家ではケモノ臭さは全くといって良いほどしない。もっとも、自分たちは慣れて気にならないだけかもしれないが。

ダイニングの中にはいつの間にか色々な犬用品が増えている。他所の部屋には行かないように簡易の鉄柵がはめられるが、そこを出入するには鉄柵を障害物競走のように跨いで越さねばならない。意外と高くて歳を取ると辛いところがある。ダイニング内の寝床も女房が買ってきて、テレビの横に置かれている。そばでテレビがうるさいと思うのだが、気にならないようだ。

今夜は勝手口外のムサシの寝床へ行った。時に、中へ入れろと騒ぐときがあるが、すぐ脇のお風呂場に湯を入れ始めると、騒ぐことを止める。多分ムサシの中ではそこで線が引かれるのであろう。ムサシの中で、色々と決まりごとを持っていて、それにしたがって暮している。その方がなにかと楽なのであろう。

毎日同じ道を通勤し、決まった仕事をしてきた人が、定年退職して、もう会社に行かなくてよくなったとき、自分の身の置き所をなくしてしまうケースがよくある。一種共通しているものがありそうである。
コメント ( 1 ) | Trackback ( 0 )