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猛暑の夏、冷茶から考える(中)

(酷暑でも季節を忘れずに花芽を出したヒガンバナ)

昨日は、水出し冷茶と味の素入りのお茶の話を書いた。いずれも煎茶の常識を破り、あるいは邪道だと排斥された。しかし二つのお茶に共通して言えるのは、それぞれが消費者のニーズに真摯に耳を傾けて、開発したお茶である点である。もちろん茶業界全体を動かすほどの力は無いけれども、それぞれに根強いファンが付いていることは昨日書いた通りである。

「白葉茶」の書き込みでも書いたが、茶業者に聞けば、お茶が売れないのは消費者が横着になって急須と湯飲みで飲まなくなったからだという。ペットボトルの簡便さに慣れてしまったのである。茶業界では、煎茶を急須と湯のみで飲むことをもっと宣伝する必要があるとして、お茶インストラクター制度を作り、地道に啓蒙活動を続けて行こうとしている。その努力に頭が下がる思いであるが、消費者を急須と湯のみの世界に取り戻すことは大変ハードルが高いと最近思うようになった。

昔、故郷では冬には長火鉢に炭がいけられ、五徳に鉄瓶がのって、沸騰する鉄瓶の蓋がチンチンと音を立てていたのを思い出す。鉄瓶の中には一つまみのお茶が入れられて、煮出されて茶色のお茶になっていた。お茶の色が茶色の語源の元だと、大変分かりやすかった。(今はお茶の色は緑色になった)鉄瓶から湯飲みにお茶を入れてもらい、熱いお茶をフーフー吹きながら飲んだ。旨味も苦味もそれほど無いが、寒い外から帰って来た子供たちには、熱いだけがご馳走だった。

お茶を60℃に湯冷ましして入れるという、茶業界が勧めるお茶の入れ方は、熱いお茶を吹きながら飲むという、消費者のニーズを頭から否定するものではないだろうか。特に寒いときには熱いお茶を皆んな飲みたいのである。コーヒーも紅茶もココアも熱湯で作って何も支障がない。煎茶だけが湯冷ましを求める。

茶業界は消費の落ち込みで苦境にある。急須と湯飲みの世界にもう一度戻すのもよいが、消費者のニーズをもっと調査すべきだと思う。消費者の嗜好に合わせたお茶が提供できるように、もっと研究すべきである。自分も消費者のニーズが解っているわけではないが、一人の消費者として、湯冷ましして入れなければ飲めないようなお茶は、間違っていると思う。熱湯で出しても苦くならないお茶を、吹き冷ましながら飲みたいと思う。そんなお茶が手に入るならすぐにでも購入したい。

しかし、熱湯で出しても苦くならないお茶、そんなお茶がはたして出来るのだろうか。(続く)
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