最近「青春をクビになって」を読んだ。著・額賀澪
新聞の書評欄を読んで手にとってみた。
主人公は35歳の男性。仕事は、大学の非常勤講師で、まもなく契約が切れ、友人からの仕事の紹介をはじめ、家族、社会情勢などをえがいており、現代社会の様相も理解できた。
大学の非常勤講師の仕事は、不安定でいつ学校から契約が切られるか、分からない。博士課程を終え、大学関係の仕事にありつけるのはわずかだ。数がすくない。また、業績があってもそれだけでは職を得るのは難しい。恩師をはじめ、先輩、勤務校との相性など、なかなか仕事を得るのは簡単ではない。運も必要だ。
私が通った大学の中には、地方の大学を卒業し教授になった男性がいた。学士だけの学歴であったが、相当優秀な先生だったと思う。著作もまずまずあり、講義もよかった。左派の人で、社会の貧困や不正などを文学を通して話してくれた。現在80代で、名誉教授だ。
本の主人公は、結局大学の仕事をあきらめ、民間企業に就職していく。生きるためにはしかたがない選択だった。非常勤講師を務めていて、安定した地位に就けるという保障はない。
人生をどういきるか。希望する仕事に就けないのが大部分であろう。どこで、妥協するか。それも大切である。