もっと時間がかかると思っていた狐だが、努力の結果(?)1月中に完成した。その過程。
上は、顎の部分をつなぎ合わせる仕掛けだ。結局、先生が作った狐と同様に、下顎に軸受けを取り付け、頭部分にはそれを受けるための仕掛けを作った。それの一部に穴を開けてピンで止め、可動出来るようにする。また、ピンは固定せず差し込んだだけにして、ピンを抜けば簡単に頭部と下顎が外れるようにした。これはわざと口部分が動くようにしたためだ。
下塗りの段階が下の写真。
↓ 表面を「きつね色」にしたところ。この色を作るのも、実は大変なのだ。手持ちの色に「きつね色」などない。また、真っ白な胡粉に混ぜて作る必要があるために、乾いた時の色を想像して慎重に色作りをする必要がある。
そんなこんなと苦労しながら作った色を塗り、更に目の中、歯(牙)の周囲に墨を使って、いかにも「それらしく」仕上げたのが下の写真だ。最後に、表面に毛並みを書き加えて完成となる。
狸から始まって、猿、狐と作ってきたが、やっとこれで完成した。いわゆる「獣シリーズ」と仲間内で呼び合っていたものが出来上がったのだ。
昨年9月11日、「狸」の作成から始まった「獣シリーズ」がようやく完成したのが、今年1月31日になる。4ヶ月もかかったのかと言われれば、そうではない。その間にはこの獣シリーズの他にも「中将」「武悪」「喝食」を作っているのだ。もっとも、喝食はまだ中彫りの段階だが、他の面はすべて彩色まで完成している。
このことから、この4ヶ月で5個の能面が完成し、1個が作業中なのだ。これは大変なことだろう。一年間で2個の完成を目安にしている「能面教室」の事を考えれば、好きな趣味といえども多すぎる気もするが、さてどうかな。