地蔵もいよいよ終盤になってきた。今回は顔の造作をきちんと仕上げる段階だが、どうも見本の地蔵さんのような可愛いところが出ない。第1作目でもそうだったから、第2作目はきちんとそのかわいらしさを出そうと考えていた。ところが、実際に彫っていくと、どうもそんなに簡単に可愛い表情が出てこない。これはどうしたことか。
能面の顔はすでに10年以上も彫っている。だから、地蔵さんでもある程度は出来ると思って彫っていたが、見たとおり。とても可愛いとは言えない仕上がりになっている。特に、目や口の作り具合が能面とは大きく違っているのだ。
極端に言えば、能面の目や口はこのお地蔵さんの顔全体ほどの大きさもある。能面では大きなまま彫っていた目や口が、この地蔵さんでは能面の1/10も小さいのだ。いわば細工が細かいために、手持ちの彫刻刀では大きすぎた。能面用の一番細い彫刻刀が3mm。これですら太い感じがしてどうしようもない。もっとも、その他にも技術的なところもあって、このかわいらしいお地蔵さんの表情を、結局は表現できないまま素彫りが終わったというところか。
さて、仕上げは台座。写真の下に見えるのが台座の元だが、これに16弁の蓮の葉(かな?)の模様を彫り込んでいく。花弁かも知れないけど、一応の飾りなのでこれも加える。そして完成することになるが、今日が17日だから作業を始めてちょうど一ヶ月目だ。予定では今月いっぱいかかっても良いと思うから、そのぐらいの余裕で作業を進めて行くことになろう。