朝刊の1ページぶち抜きで、「長寿医療制度について、改めてご説明させて下さい。」という、舛添厚労相とおじいさんが対面している写真の政府広報が載っていました。
私の学習も兼ねて突っ込んでみようと思います。
「舛添大臣、なぜ長寿医療制度が必要なのですか?」
大臣>世界一の長寿国、日本の医療費は今後ますます増大していきます。
これまでの制度が限界となる中で、将来にわたり世界に誇る国民皆保険制度を守り、高齢者が安心して医療を受け続けられるようにするために長年にわたる議論を積み重ね、導入されました。
↑ 高齢者が増えると医療費は増大するでしょう。でも日本の医療費のGDPに占める割合は先進諸国の中で最低レベルらしい。医療費が抑制された結果です。無理に抑制しようとするからひずみが生じるのであって、社会情勢にふさわしい医療費の予算を確保する努力が必要なのに、逆に社会保障費の総額抑制が行われている。この政策を転換しなければ、医療の質の低下と国民の負担増はいつまでも続くと思う。
「なぜ75歳で区切る制度なのですか?」
大臣>75歳以上の方々は、病院にかかる機会が多く、医療費も多くなりがちです。
これまでの制度も75歳以上の方が対象でしたが、現役世代より軽い負担で、きめこまやかな医療を受けられるようにするためには、より公平で安定的な制度が必要です。そこで、75歳以上の方々の医療については、税金で5割をカバーし、現役世代と高齢者の分担ルールを明確にし、しっかりと支える仕組みとしたのです。
↑ 75歳以上でも元気で病院にほとんど行かない人もいるし、現役世代でも病弱で手厚い治療が必要な人もいるのに、十把ひとからげに年齢で区切ろうとするから「年齢で区切る差別医療だ」という批判が絶えません。現役世代と高齢者の分担ルールを明確にするというのは、よく聞く説明です。国保税の納税通知や健保明細に、「後期高齢者支援金分」という項目が作られ、「年寄りが病院にしょっちゅう行くから、ワシらの保険が上がった」と現役世代が怒るように仕向ける仕組みですね。でも高齢者の医療費への現役世代は、これまでの老人保健制度でも、国保や健保からの老健拠出金というのがあり、一定のルールに従って現役世代も負担していました。
「受けられる医療や保険料の負担が不安です。」
大臣>受けることができる医療は、これまでと変わりません。
むしろ、在宅医療、高齢者担当医など、より良いサービスが受けられます。
これまでは保険料をご負担いただく高齢者とご負担いただかない方とがおり、地域によって保険料も5倍もの格差がありました。
長寿医療制度の保険料は、すべての高齢者に公平にご負担いただいており、地域格差も2倍程度に縮まります。
高齢者の負担を減らす改善策も実施していきます。
国民皆保険をすべての国民で支えていけるよう、ご理解をお願いします。
↑ 在宅医療でより良いサービスとは? いったい在宅医療を支える態勢が、地域にどのくらい整備されているのでしょうか。高齢者担当医は、糖尿病や高血圧などの慢性疾患を持っているお年寄りに1人の担当医を決めるもので、複数の慢性疾患を持っている人にも1人の担当医です。どんなに詳しい検査をしても6000円の診療報酬しか出ないことになっていて、下手をすれば診療所は赤字です。
年金収入が少なくて子どもの扶養に入っていたお年寄りからも、収入ゼロの人からも、保険料を取り立てる、鬼のような制度です。地域によって格差があったというのは、おそらく国保のことだと思います。地域格差はなくすべきですが、だったらなぜ全国統一の保険にせずに、都道府県単位の保険にしたのでしょうか。結果、2倍の格差が残されたままです。
均等割の部分で7割軽減になる人の一部を9割軽減にするというだけで、ごく一部の人の保険料が下がるだけになりそうです。
国民皆保険制度をすべての国民で支えていければ良いですが、政府と企業の負担率が減っていることはどうしてくれるのでしょう?
と、こんなふうに突っ込んでみましたが、私が改めて突っ込むまでもなく、保険医協会や医師会などの医療関係の団体や日本共産党の見解でことごとく論破されているものを、高い税金を使って、また印刷しただけのシロモノです。
私が「突っ込み」を書けるのも、医療関係団体や日本共産党の見解を読んだからだけのことですが、厚労省は高い税金を使って国民がいろいろ考える機会を作ったと思うことにします。
23日の本会議最終日で採決された「後期高齢者医療制度の廃止を求める意見書」への賛成討論の原稿を書くために、いろいろな文書を読み返したので、今日は割りとすらすら書けました。
そういえば、東郷町議会の唯一の民主党議員がこの意見書案に反対しましたが、討論をしなかったので、理由は定かではありません。