「しんぶん赤旗」日刊紙の1月27日付(東海・北陸信越のページ)の報道によると、愛知県が、子ども・障害者・母子父子家庭・高齢者の医療費自己負担を無料にしている「福祉医療制度」に一部負担と所得制限を検討している問題で、愛知自治体キャラバン実行委員会(森谷光夫代表)は、中止を求める抗議文を大村秀章知事に提出しました。
負担金は、
①通院1回300円・入院1回100円
②通院1回500円・入院1回500円
③通院・入院とも1ヵ月1医療機関で500円
の3案が示され、所得制限は他県と基準をそろえる方針です。
抗議文は福祉医療制度について、145万人が対象となっている「全国的に見ても非常に優れた制度」と評価。県内自治体の54%にあたる29自治体から意見書から意見書が出ているほか、個人署名は8万人以上、300以上の諸団体が存続拡充を求めていると指摘し、一部負担・所得制限の導入に「抗議し中止を求める」としています。東郷町議会も2011年12月に「愛知県の福祉医療制度の存続・拡充に関する意見書」を可決し、愛知県知事に提出しています。
自治体キャラバンは県内全自治体を訪問して社会保障拡充を求める行動で、1980年に始まりました。県社会保障推進協議会や愛労連、保険医協会などがつくる実行委員会が運営しています。東郷町役場にも毎年訪れ、町当局との懇談には日本共産党議員団も同席します。また自治体キャラバンが東郷町議会に請願を提出するときには、日本共産党議員は必ず紹介議員を引き受けます。
日本共産党は自治体キャラバンなどの運動と協力し、地方選挙でも福祉医療の拡充を公約しました。こうした運動が実り、子ども医療費では県内の半数以上の自治体が中学卒業まで無料化を実施し、東郷町では18歳までの無料化が実現しました。
一部負担金導入時期は未定
愛知県は一部負担金と所得制限の導入について、今後、市町村や医師会・歯科医師会など医療関係団体への説明を行います。
また所得制限の導入は、市町村の事務量が増えそれにともない事務経費も増大します。そのため県は、「マイナンバー制度」実施後の所得制限導入を考えています。
こうしたこともあり、実施時期などは未定です。
愛知県は2000年8月に一部負担金を導入しましたが、全市町村が一部負担金導入を見送った(一部負担金相当額を市町村が負担)ため、翌2001年度に負担金制度を廃止したという経緯があります。
運動を強め福祉医療改悪を止めよう!
自民党・公明党の安倍内閣が決定した2013年度予算案は、大型公共事業費と軍事費が異常な伸びを示し、社会保障費が削られています。また地方交付税も削られます。愛知県も豊田市・岡崎市境の山間部にトヨタ自動車のテストコースの設置など大企業応援には手厚く、逆に社会保障には冷たい県政を続けています。
県が示した案は、一見、負担が少なく、受け入れやすく感じられるものになっています。しかしひとたび社会保障の後退を許せば、際限ない後退につながることは、かつて国が実施していた老人医療費無料制度が消滅した経過を見れば明らかです。
県民の運動で拡充させてきた福祉医療制度を守る運動を強めましょう。