訂正 この文中で廃止案を「C案」と書きましたが、そのような言葉はありませんでした。
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総務省の地方議会議員年金制度検討会で地方議員の年金制度のあり方が検討されています。この検討会には学識経験者の他に、全国町村議長会の会長など当事者の代表も参加しています。
市町村合併や議員定数の削減で、地方議員の年金制度が破綻寸前です。制度を支える現職議員が激減し、一方で受給資格者が増え続けているからです。
この検討会では年内を目途に方針が出され、来年の通常国会には法案が提出される見通しです。(地方議員の年金制度は法律で決められています。国会議員が決めるんですね)
さて、11月2日に開かれた検討会の4回目の会議では、存続の2案(A案…掛け金を増やし給付を減らして公費負担の増加を抑える、B案…公費負担を増やして掛け金や給付の変化を抑える)と廃止案(C案)が検討されました。(A、B、Cの説明は大雑把なものですから、詳しくは総務省のHPの資料をご覧ください)
この検討会を受け、全国町村議長会はB案を条件付で容認し、存続案のA案と廃止のC案は受け入れられないという方針で、12月4日の5回目の検討会に臨む方針(案)を決めました。
B案を受け入れる条件とは、現職議員の負担を引き上げるのであれば現職議員の給付は据え置くこと、公費負担比率を40%から50%に引き上げること、遺族年金の廃止で現職議員の負担を軽減すること、などです。
さて、全国町村議長会の中央は5回目の検討会に臨むにあたっての方針の案を決めたものの、各県町村議長会を通じ、各町村議長に対し、「この方針でいいか」という意向調査を行い、この方針の案に、賛成、反対、どちらともいえない、のいずれなのかを問い合わせました。
このことを20日の議員全員の会議で議長が明らかにしました。そのうえで議長は、「議長だけで判断して意向調査に回答した議会もあるようだが、東郷町議会ではみんなの意見も聞きたい。もし意見があれば出してください」と述べました。
私の考え
個人的には「廃止がいいな」と思っていました。なぜなら掛け金が上がり続け、今では16%にもなっている高い掛け金が議員報酬から天引きされ、家計を圧迫しているからです。かなり刹那的ですが、もらえるかどうかもわからない年金のためにお金を払うよりも、今の現金がありがたいし、高い国民年金保険料を払っているので、国民年金を頼りに老後をなんとか乗り切ろう、という考えていたからです。
しかしです。先に紹介した検討会の資料を読むとどうか。すぐに議員年金を廃止すると、公費負担が急増することが示されているではありませんか。(第4回地方議員年金制度検討会の配布資料2 廃止する場合の考え方についての4ページ)
それもそのはずで、廃止したら私たち現職議員が支払う掛け金の収入がなくなるのに、すでに受給資格を得ている人の年金を払い続けなければならないだけでなく、受給資格を得ていない現職議員に対しても、それまで支払った掛け金を一部でも返す必要があり、その分、公費負担が激増するのです。年金への公費負担が増えることへの批判から「すぐに廃止すべきだ」という気持ちもわからなくはないのですが、かえって公費負担が増えるのでは、ますます国民の理解を得られそうにありません。
廃止すればすっきり解決と思っていましたが、勉強不足でした。
さりとて、全国町村議長会が求める公費負担の増額にも諸手を挙げて賛成できません。
私だけでは考えがまとまらず、党の中央に問い合わせ、その結果、中川議員と連名で次のような意見を議長に提出しました。
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2009年11月24日
東郷町議会議長 近藤秀樹様
議員年金について(意見)
中川雅夫 門原武志
お疲れさまです。
県町村議長会への回答ですが、「3.どちらともいえない」がいいと思います。
存続についてはB案でも公費負担の増加が見込まれるため、理解が得にくいと思われます。ただしA案もC案も容認できないとする方針は支持できます。A案も現職議員の負担が大きく、Cの廃止も、家計に余裕がある人しか議員になれないとか、急激に公費負担が増えるなどの問題点があり、容認できません。
平成の大合併で地方議員数が激減し、現行制度の破綻は決定的です。ただし国・地方の財政負担を増やすことには国民の理解は得られないとも思われ、現行制度の枠内での見直しではなく、抜本的な改革が必要です。
たとえば、市町村議員の制度と都道府県の制度との合併による制度存続や、廃止するにしても給付資格を他の制度に引き継がせることなどの検討が必要だと思います。
以上の点をご勘案の上、県町村議長会への回答をしていただければと思います。
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議長がどんな回答をしたかまだわかりませんが、地方議員自身が自分たちの年金制度をもっと真剣に考えるべきだったと痛感しました。