いつもこのブログを読んでくださっているある住民から、「国民健康保険で昨年度より項目が増えた」という問い合わせがありました。
その中で、次のように書いておられます。
「国民健康保険、平成19年度より項目が増えた。後期高齢者支援金で〇〇円。年間××円増えた。なぜ、75歳になっていないのに、支援金を支払わなくてはならないのか。(中略)後期高齢者保険料は75歳から払うのではないのですか。△△歳(この方の年齢)から75歳になるまで、支援金を支払うのですか。馬鹿げている。(中略)社会保険、共済保険も同じですか。」
本当は東郷町役場の担当に、しっかり説明してもらいたいのですが、残念ながら広報の7月号の20ページの一番下の段だけで説明しています。http://www.town.togo.aichi.jp/Files/1/13005329/attach/14-23.pdf(pdfなので注意)
写真は、昨日、うちに届いた国保の納税通知書(写真の一部を修正しています)。
左から「医療保険分」、「後期高齢者支援金分」、「介護保険分」の課税額が示されていて、その合計が、私が今年度に支払う国保税額です。家族に40歳以上の者がいないので、介護保険分はゼロです。
2枚目の写真は、昨年度の私の国保の納税通知書です。
上から「医療保険分」と「介護保険分」の欄がありますが、「後期高齢者支援金分」はありません。
3枚目の写真は国保の納税通知書と一緒に同封されていた「国民健康保険税の決め方」。
「後期高齢者支援金分は75歳以上の人の新しい医療制度「後期高齢者医療制度」を支援するため75歳未満の人が納めます。」という説明がありますが、今年から新たに加わった事や、なぜそんな制度になったのか、あるいは税率が去年までと比べてどうなのかという説明がありません。
さて、先ほどの住民からの問い合わせには、「年間××円増えた」と書いてありました。おそらく「後期高齢者支援金分という新しい項目のせいで増えたんだ」と思っておられるのだと思います。
しかし、後期高齢者支援金分の項目がそのまま増税の要因ではありません。昨年度までの医療保険分の部分が、今年から医療保険分と後期高齢者支援金分とに分けられました。例えば所得割では、今年度は医療保険分で5.4%、後期高齢者支援金分で1.4%です。昨年度は医療保険分で6.8%でした。つまり、6.8を5.4と1.4とに分割して、今年度の医療保険分と後期高齢者支援金分の税率が決められたのです。資産割、均等割、平等割も同様です。
ただし、課税限度額は昨年度まで医療保険分では53万円でしたが、今年度からは医療保険分47万円と後期高齢者支援金分の12万円とを合わせた分で59万円へと、6万円も引き上げられます。これに介護保険分の8万円(昨年度と変わらず)を合わせると、国保の課税限度額は67万円にもなります。
他にも65歳以上の方の公的年金控除の140万円から120万円への引き下げによる所得割の増税の激変緩和措置が今年度からなくなっているので、これも増税要因です。
以上から、この方については、所得が増えたから増額になったものと推察されます。それにしても、役場はなぜ、「去年と比べてこう変わった」という説明をしないのでしょうか。
さて、問題は「なぜ後期高齢者支援金分を支払わなくてはならないのか」と怒っておられることです。何の説明もなく唐突に新しい項目を示されたら、このように怒るのも、もっともなことです。
実は、昨年度までの老人保健制度でも、同じように、国保や健保の会計から「老人保健拠出金」というお金が支出されており、若年層が75歳以上の方々の医療費を負担することは後期高齢者医療制度で始まった事ではありません。政府・与党などは、後期高齢者医療制度のメリットとして「負担の明確化」ということをいっていますが、老人保健制度でも国保や健保によって拠出金の割合というのが決まっていたのです。明確になったというのは、各個人に対して、ということです。
日本共産党は、6月議会で国民健康保険税条例に反対しました。
理由の1つは、後期高齢者支援金分の創設です。私は反対討論で、「後期高齢者支援金分は、後期高齢者医療制度の医療費が増えたら増税される部分。“年寄りの医療費が増えたから増税になった”と思わせる効果があり、世代間の分断を図るもの。これがどれだけいやらしい仕組みかは、たとえば“女性分”“子ども分”“農業者分”などを作ったらどう思われるかを想像してみれば良い。こんなことをどうして75歳以上のお年寄りだけにするのか。こういうのを指して差別医療と呼ぶ」と指摘しましたが、まさに現実になったのです。
繰り返しますが、75歳以上の人たちのせいで東郷町の国保税が増税になったわけではありません。
(ただし、後期高齢者支援金分のために増額になった国保や健保もあるそうです。)
ずいぶん長くなってしまいました。役場がきっちり説明するのは当然ですが、この条例改正に賛成した議員さんたちにも、住民が納得するよう説明してほしいものだ。