3月22日、東郷町議会の3月議会が終わりました。日本共産党(かどはら武志)は2013年度一般会計予算、国民健康保険、後期高齢者医療、介護の各特別会計予算の4議案に反対しました。(残りの13人の議員は全議案に賛成)
一般会計予算への反対討論は、例年は故中川まさお元議員が行っていましたが、この議会で初めて、日本共産党を代表して討論するという重責を、私が担わせていただきました。
中川さんがご存命なら、私の討論をどう聞かれたことかと考えますが、きっと「まあよかったんでないかい」と言ってくれるでしょう。そう信じたいと思います。
以下、私の討論を紹介します。
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議長のお許しを得ましたので、私は日本共産党を代表し、ただいま議題になっている議案第28号 平成25年度東郷町一般会計予算について、反対の立場から討論いたします。
反対の理由は、この予算案が住民のくらしを守るという点で、極めて不十分だからです。
まず、国保特別会計への法定外繰り出し金、予算書の国保特別会計の説明欄に医療費等繰入金と書かれているものを無くしたことに、住民のくらしを守る点においての不十分さが現れています。
町長は、施政方針演説で「元気に暮らせる健康づくりを支援」と言いましたが、今回の予算案で、町民の健康を守る最後の砦である国民健康保険への町独自の支援を無くすことは理解できません。
平成24年度当初予算では、一般会計から国保特別会計へ1億8000万円の法定外の繰り出しを計上しましたが、これは高すぎる国保税をこれ以上値上げしないようにするためには当然の措置でした。この繰り出し金を維持すれば、高すぎる国保税を減税し、町民の安心のために一歩前進できたと考えると、今回の対応は残念です。国民健康保険の被保険者は町民の4分の1近くを占めています。会社員や常勤の公務員でも退職すれば医療保険は国保しかありません。国保税の減税は、よく言われるような一部の住民のための施策ではありません。お金の心配なく必要な医療を受けることができる、本当の意味で元気に暮らせる健康づくりを支援する町政への転換を、強く求めます。
介護保険に対しても保険給付に一般会計からの援助がないことも、国保への対応と同様、住民のくらしを守るという点での不十分さが現れていることとして指摘しておきます。
次に、町の文化政策で認めることができないことを指摘します。
4月から町立図書館に指定管理者制度が導入され、東郷町施設サービス株式会社に図書館運営がゆだねられます。
東郷町の文化の中核を担うべき町立図書館を、外部にゆだねることは許されません。これは前から繰り返し指摘してきましたが、東郷町がひとたび図書館運営から手を引けば、これまで蓄積されてきた図書館運営のノウハウが断絶してしまい、これを取り戻すのは極めて困難になります。
また、予算審議を通じて、指定管理者が任命する図書館長について、その雇用形態すら町が把握していないことが明らかになりました。この事態は、図書館運営が東郷町の手から離れつつあることを端的に示しています。
次に、図書館運営の専門性についてですが、改善は期待できません。これまで町立図書館の館長に専門職を配置できず、司書のほとんどが非常勤職員だったのは、小規模自治体である東郷町ではある程度やむを得ないこととはいえ、町立図書館の大きな弱点でした。
町立図書館への指定管理者制度導入の議論では、図書館運営の経験を持った専門の業者による運営が期待されると説明されたものですが、指定管理者になる東郷町施設サービス㈱には図書館運営の経験がなく、したがって専門性は期待できません。またこの会社に雇用を引き継がれる予定の、今年度いっぱいは東郷町臨時職員として働く司書たちの待遇はパートのままです。小規模自治体であるために、本来は常勤であるべき司書に臨時職員を充てざるを得なかったという現状は、いささかも改まりません。館長就任予定者は、県立図書館への勤務経験があるだけで、司書資格がないことも明らかになりました。
期待されたメリットがまったくないのに、文化の中心である図書館の運営を投げ出すことを前提とした予算案を認めるわけにはいきません。
また、義務教育への予算でも大きな問題があります。学校図書購入費の減額です。東郷町の学校図書館の図書の充足率は100%に達しておらず、特に兵庫小学校は改善が急がれるにも関わらず、図書購入費を減額するとは、教育を軽く見ていることの現れです。
この事態を引き起こした直接の原因は、予算の枠配当方式です。枠で学校運営費用の総額が決められ、光熱水費の高騰を見込んだ中で、その範囲で予算を収めようとするあまり、図書購入費や修繕費などにしわ寄せがきました。
子どもの教育に関わることでこうした事態が起きたことは重大です。子育て支援ナンバーワンを掲げる東郷町では到底許されないと強く申し上げます。
次に保育についてです。予算には直接の反映はありませんが、施政方針で述べられた諸輪保育園と上城保育園を廃止し新たに建設する保育園を私立にしようとすることは、行政が保育への直接の責任を持たなくなるという点から、慎重に対応すべきです。
東京都狛江市の中学校給食の事例を紹介します。
狛江市では中学校の給食が民間委託で実施されていますが、このほど新年度から中学校の給食ができない旨が保護者に通知されました。報道によれば2月中旬になって突然、業者から新年度は契約できないとの通告があったそうです。また報道によれば狛江市周辺には中学校の給食を受託できる能力を持った業者がなく、新年度から実施できない事態になったとのことです
もちろん、この事例には業者の施設で調理されていたなど東郷町では考えられない要因が含まれていますが、民間事業者の特性として、収益が見込めるなら参入するが見込めなければ参入しない、あるいは撤退するとか、行政の要求に応じることができないと判断すれば撤退するなどというものがあります。
私立保育園ありき、で進むことに対する危惧を表明します。
効率的な行政の在り方で、述べておきたいことがあります。一部事務組合の管理者・議員らへの報酬と尾三衛生、尾三消防、日東衛生の3組合の議会と管理者が参加する3組合合同研修についてです。
一部事務組合の報酬は、ある事務をたまたま他の自治体と共同で運営しているだけで、本来は東郷町がなすべき事務をしているだけです。町長が町長給与に加えて管理者報酬を受け取り、議員が東郷町からの議員報酬に加え組合議員としての報酬を受け取ることは、報酬の二重取りであり、なくすべきです。
3組合合同研修は、それぞれの組合の事務事業とは別の事業を含めて調査することであり、目的が明確でないまま研修が行われる点で問題があり、やめるべきです。
この際、一部事務組合の組織や運営、議会のあり方について、行政、議会それぞれが、関係する自治体と話し合う場を持つことを提案します。
評価すべきこととして、
愛知中部水道企業団の水道料金値下げ
尾三衛生組合、日東衛生組合は、それぞれ施設改修などの新規の大型事業を抱えるにも関わらず、適切な資金運営により分担金を増やすことなく対応できた。
尾三衛生組合での焼却灰の放射能検査の実施
以上は、川瀬町長の強い働きかけによるものと評価します。
町長が施政方針演説の町政の基本方針で最初に取り上げたセントラル土地区画整理事業について一言申し上げます。
この事業は、地権者たちによる民間事業ですが、過大な計画にならないよう、適正な収支計画に基づく事業にするように導くことは、これに対する支援を行う町当局の責務です。そうした姿勢でこの事業に臨むよう求めます。
一部事務組合の分担金の減少や、いこまい館の土地取得の償還の終了などは将来の町財政の負担を軽くすることについて希望が持てることです。
臨時財政対策債が対前年度比5000万円減の6億円、財政調整基金繰入金が対前年度比3000万円減の3億円で済んだことも、多くの新規事業が予定された中で財政負担が軽くなっていることの現れです。
もちろんこれは町当局の努力もありますが、住民の暮らしを守る姿勢が十分に現れなかったことは残念です。
安倍政権の社会保障切り捨て、大型公共事業へのばらまき政策が進められようとしている今、住民の暮らしを守る町政への転換を求め、反対討論とします。
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