東郷町議会議員 かどはら武志(日本共産党)

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「目標は住民の生活再建」 ネットワークを活用した多重債務相談(滋賀県野洲市)

2010年08月22日 | 東郷町議会
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 3日、経済建設委員会の県外視察研修で滋賀県野洲市を訪れ、「ネットワークを活用した多重債務相談」について説明を聞きました。

 滋賀県野洲市は200410月に中主町と野洲町が合併して誕生した人口およそ5万人、約18000世帯の町です。野洲市では「市民生活相談室」が中心になり、ネットワークを活用した多重債務相談が取り組まれています。この取り組みは、1999年に当時の野洲町(人口約3万人)で始まりました。

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 この取り組みの目的は、借金などが原因で生活が困窮した市民の相談に応じ、生活を再建することにあります。

(写真 野洲市役所の市民相談窓口)


「掘り起こし」が大事

 昨年度、市民生活相談室は832件の消費生活相談に応じました。このうち多重債務の相談は191件です。人口と比較すると、いかに多くの相談に応じてきたかが分かります。

 今回の視察研修で説明してくださった市民生活相談室の消費生活専門相談員の生水(しょうず)裕美さんは「掘り起こしの成果」だと強調しました。多重債務の相談者が相談に訪れたきっかけでいちばん多かったのは、他部署・他機関からの紹介(108件)でした。そして他部署・他機関からの相談件数でいちばん多いのは市役所の生活保護の担当で、続いて市役所の納税推進室(県市民税、国保税などの徴収を担当)でした。生活保護の相談に応じている間に借金があることが分かったとか、「税金を払えない」という人に対応しているときに理由を聞くと分かったなどの事例です。

 相談に訪れたきっかけのうち、「広報で知った」「インターネットで知った」は多くはありません。困っている人の多くは相談窓口を調べる余裕すらありません。税金や水道料金の滞納の問題を通じて市民と接触する市の職員が、滞納の原因が借金だったと発見したとき、借金問題の解決が生活再建につながり、それが滞納の解決にもつながるということを理解していればこそ、市民を相談窓口につなぐことができます。そのために、野洲市では職員の研修にも力を入れているとのことでした。

 同時に、市役所の部署間での情報の共有化の重要性も強調されました。

 また「相談者の生活再建が目的であって、滞納金額の回収が目的ではない」という意識の徹底も強調されました。

「どこに相談したらいいか分からない」市民の第一の相談窓口

 市民生活相談室の窓口は「どこに相談したらいいか分からない」という市民の第一の相談窓口として位置づけられています。

 自発的に相談に訪れた市民の相談内容に応じて、市役所の各担当につなげます。それだけでなく結果がどうなったかも市民生活相談室が追跡します。市民の相談は1つだけとは限らず、多くの場合、税や公共料金の滞納や健康、就労などが複合的に絡み合っているからです。

 その狙いは「確実にワンストップ」させるためです。たらいまわしをしないということです。いきなり担当につなげるだけだと「それはうちの仕事じゃない」となってしまうのです。

 ここで、市民生活相談室が調整役として重要な役割を発揮します。相談者の生活を再建するには生活保護が必要なのか、相談者の健康状態はどうなのか、税の減免制度は利用できるのか、など各部署にまたがる制度を相談者に有効に活用してもらうために調整が必要です。また、借金があるなら弁護士など法律家に確実につなぐことも市民生活相談室の大きな役割です。

「借金は必ず解決する」を確信に

 生水さんは「生活で困っているという相談者に借金があればしめたもの」と言いました。「借りた金は必ず返す」という意識の人が多く、税金を滞納してでも借金の返済に充て、その結果、借金の過払いが生じます。過払い金があると分かれば、返還請求の手続きを弁護士等に依頼し、サラ金との交渉をしてもらいます。過払い金が戻ってくれば、生活再建の資金に充てることができますし、税等の滞納の解決にもつながります。

 サラ金への返済を続け、生活が困窮し、税金を払えなくなった人の中には、「借金は返すしかない」と思い込んでいる人が多くいます。

 野洲市では、「借金は必ず解決します」というビラを全戸に配布し、市民に相談を呼びかけています。

役所ぐるみどころじゃない、「まちぐるみ」の相談体制

 生水さんの話で印象的だったのは、調剤薬局で「借金でどうもならん」とこぼした市民に薬剤師さんが「それなら市役所に行き」と勧めたという話です。多重債務被害者が相談に行くことを思い立たなくても、周りの市民が市役所に相談に行くことを勧めるのは、まさに「まちぐるみの相談体制」だと思いました。

 職員も「税金が高い」と文句を言われてばかりだったのが、逆に市民から感謝されることが多くなったそうです。全体の奉仕者としてのやる気を職員に存分に発揮してもらうためにも、野洲市と同様な取り組みが東郷町でも実現すれば、と思いました。

 さて、東郷町でもこうした取り組みへの模索が始まっています。7月28日に東郷町のくらし協同課が多重債務の専門の弁護士を招き、徴税や国保の担当者向けに研修を行いました。これは生水さんが私たちの研修の場で教えてくれました。「東郷町の熱心さが分かります。皆さんもぜひ職員をほめてください」という生水さんの言葉に励まされ、私もがんばろうと決意を新たにしています。

 

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