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書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

藪内清/吉田光邦編 『明清時代の科学技術史』

2013年12月14日 | 東洋史
 戴震(1724-1777)は、梅文鼎(1633-1721)と比べると、西洋数学の理解と実力において遜色がある由。しかし清も下って彼の時代になると、梅が著書で言うことをともかくもすべて理解できるのは戴ぐらいになっていたという。
 方以智は、物理学で人間の倫理原則も窮められると思っていたらしい。『物理小識』の冒頭「盈天地間皆物也」は、そういう意味だったのか。理解が足らなかった。もっとも200年後の康有為や梁啓超は幾何学でそう思っていたから(こちらこちら)、一概に笑うわけにはいかない。
 以上、本書所収藪内清「戴震の暦算学」および坂出祥伸「方以智の思想 質測と通幾をめぐって」を読んで、教えられたこと。

(京都大学人文科学研究所 1970年3月)