書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

『唐会要』の巻40「臣下守法」は皇帝の“時宜を失した粗暴な”至上権の行使を、・・・

2018年09月02日 | 東洋史
 『唐会要』の巻40「臣下守法」は皇帝の“時宜を失した粗暴な”至上権の行使を、説得によって掣肘しようとする臣下の諫言の集積だという、滋賀秀三先生のご教示を受けて見てみた。先生のご指摘とは『清代中国の法と裁判』(創文社 1984年12月)の「第一 清朝時代の刑事裁判 第三節 裁判の準則としての法」、83頁、注235にある。
 あまり量はない。唐代の諫言例はまさかこれだけではあるまいに、その取捨選択の原理が一読してよくわからない。
 なおこれは私個人の文法的な読解能力に関わることだが、臣下による諫言の理屈がよくわからないものもある。そして、その論理が修辞なのか本気なのかという判断も、これは収録されている例について全体的にだが、つかない。ここまで来ると、諫言内容そのものテクストだけでない、それが為された状況などテクスト外の文脈の助けが必要となる。なかには、私的にはめずらしく『春秋公羊伝』を論拠とする諫言もあるのだが、それは何の理由をもってしてか。