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書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

『四庫全書総目提要』の応劭『風俗通義』項を読んで

2014年12月17日 | 東洋史
 http://kanji.zinbun.kyoto-u.ac.jp/db-machine/ShikoTeiyo/0251201.html

 分量はわりあいあるにも関わらず、書名の由来の詮索のほか、本そのもの内容についてはたいしたことを書いていない。これでは提要にならない。あまり出来がよくない。
 それはさておき、この『風俗通義』という書籍を実際に読んで、例えば私などが驚嘆するのは、著者が人間の自律的な思考や判断の能力をほぼ認めていないことである。「理」とは儒教の教え、「義」とは礼(法)の定め、そして「義」と「理」(=義理、道理)イコール「天常」(天理)なのである。ここに人間理性の存在する余地はない。
 怪力乱神を斥けるという一見合理的思考なその態度も、その理由と言えば孔子がそう仰ったからというものである。要は権威に訴える論証にすぎない。
 ただ、その権威として孔子と『論語』とを引く点は、注意すべきかもしれない。