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書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

杉本つとむ 『江戸の言語学者たち』

2018年01月10日 | 人文科学
 「第Ⅲ章 古文辞学派と言語の学習・研究」で、杉本先生は鈴木朖の日本語の“詞”の四分類が、徂徠の『訳文筌蹄』をはじめとする漢語研究とその“字品”(=詞品=品詞)分類から来ていること(176-177頁)、また徂徠の漢語研究はのちの蘭学者のオランダ語学習に影響を与えていること(178頁)に関し、前者は、「〔国文学者の偏見は〕それを認めようとしない」、後者については、「徂徠研究家のどの学者も〔略〕ふれているものはない」、だけでなく、「蘭学とはまったく関係ないと結論づけている徂徠研究者もいるのである」と、厳しく指弾しておられるが、それは当時ほんとうで、いまも本当であるのかどうか。

(雄山閣 1987年11月)