書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

松田奈緒子『重版出来』という漫画を知らなかったのだが、・・・

2018年06月09日 | 思考の断片
 松田奈緒子『重版出来』という漫画を知らなかったのだが、TLで興味をそそられて調べてみたら、好きな土田世紀『編集王』をちょっと思い出させる。
 しかし大場つぐみ/小畑健『バクマン。』(ちゃんと見たのは大根仁監督の映画版だけだが)のときに思ったが、作家・作品と雑誌経営の狭間で苦悩するあるいは股裂になる編集者は綺麗事ではやっていけないということを『編集王』でもろに書いてしまったのに、そこに触れない業界物がまだ出るというのはいろいろな意味ですごいと思った。
 高橋ツトム『二次元JUMPIN' 』のような、『編集王』を更に推し進めた極めてダークな世界(『編集王』でも編集長が土壇場で志を取り戻して変化するという一種の救いがあるのにそれもない、基本目には目を、汚物には汚物を式の対決と拮抗の末の微かな明日への希望)で描く作品もある。きついがこれも好む。