外箱に「小村寿太郎侯三十年祭記念版」との表記あり。
要するに日本は何処迄もルーズヴエルトの力を藉りて講和会議に臨む。併しながら講和談判の内容とか条件には一切指図させないと云ふ訳である。併し我方に取つて大事な問題――条件とは云はない――がある。例へば、朝鮮は再び国際紛糾の源にさしてはいけない。之に対しては日本は指導・保護・管理の権、即ち朝鮮保護を設定しなければならぬ。遼東半島を取るのは当然だし、満州は施政改革及び善政の保障の下に支那に還付するのだと云ふような事柄は、ちゃんと(原文傍点)ルーズヴエルトに吹込せてある。償金も取るのが本当と思ふと、之はいけないぞとル氏に言はせないやうにした。和戦何れの段階に於ても飽迄露西亜と日本だけに限る。さうして置いて日本に都合の好い時には、外部の勢力を巧に我が目的貫徹に利用しよう。而して其の利用の目的を十二分に達したのは小村さんの外交である。 (「日露戦争と小村侯」 本書285頁)
(千倉書房 1941年11月)
要するに日本は何処迄もルーズヴエルトの力を藉りて講和会議に臨む。併しながら講和談判の内容とか条件には一切指図させないと云ふ訳である。併し我方に取つて大事な問題――条件とは云はない――がある。例へば、朝鮮は再び国際紛糾の源にさしてはいけない。之に対しては日本は指導・保護・管理の権、即ち朝鮮保護を設定しなければならぬ。遼東半島を取るのは当然だし、満州は施政改革及び善政の保障の下に支那に還付するのだと云ふような事柄は、ちゃんと(原文傍点)ルーズヴエルトに吹込せてある。償金も取るのが本当と思ふと、之はいけないぞとル氏に言はせないやうにした。和戦何れの段階に於ても飽迄露西亜と日本だけに限る。さうして置いて日本に都合の好い時には、外部の勢力を巧に我が目的貫徹に利用しよう。而して其の利用の目的を十二分に達したのは小村さんの外交である。 (「日露戦争と小村侯」 本書285頁)
(千倉書房 1941年11月)