くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「古典の裏」杉村瞳

2020-01-07 19:03:52 | 古典
 古典の裏話には詳しくなくては。
 でも。考えてなかった着眼がかなりあり、勉強になりました!
 杉村瞳「古典の裏」(笠間書院)。
 「仁和寺にある法師」は、なぜ道を聞かなかったのか。
 偉いお坊さんが、庶民でも当たり前に知っていることを知らなかった。石清水八幡宮を「拝む」より「参詣してきた、と周囲に自慢すること」が目的だったのではないか。山に行くのを我慢したと、わざわざ言うところがあざとい。
 なるほど!
 滑稽の中に潜む人間像が、伝わってきますね。

 「竹取」で繰り返される「三」という字に着目。
 この時代、「三」は神聖で特別とされた数なのだそうです。三寸、三ヶ月、三室戸斎
部の母、三日間。わざと重ねてある!
 また、かぐや姫の驚くべき能力(帝の前で消えてしまう、など)は話題にしていましたが、それは周囲の人が「魔法にかけられていたから」!
 天人がかぐや姫の気持ちを全く理解できずに、不老不死の薬を飲めば気分の悪さ(翁らと別れる悲しさ)が回復すると考えるというのも、納得できます。
 イヤー、楽しい。
 繰り返し読みたい一冊です。