またまた過去に撮影したクルマネタから。
ニッサンブルーバードの9代目モデル、U13型のお話を。
今から約30年前の1991年秋にブルーバードはモデルチェンジを実施、U13型に世代交代されました。その後、1996年1月まで生産・販売されてました。
当モデルは先代同様に4ドアハードトップ(サッシュレスのドア)と4ドアセダン(サッシ付きのドア)の2種類のボディ形態のラインナップを踏襲しながら、両者をまったく異なるテイストのデザインに一新されました。
とりあえず画像をふたつ。
ハードトップ1800ARXタイプツーリング(1994年~96?)
セダン1800SSS-V(1991年~93年?)
ハードトップは水平基調のエレガントなデザインでARX(アークス)の名称が与えられました。基本的に日本国内専用として(ただし、香港への輸出はあった模様)、日本人好みに仕立てられました。
一方のセダンは、北米戦略車として位置づけられ、北米のデザイン案による丸みを帯びたデザインでスメ[ティなSSS(スリーエス)と廉価版のEEX(イーエックス)を設定されました。なお、北米ではアルティマの名称で販売されてました。
このプロジェクトは×2(バイツー)計画と呼ばれていたかと記憶しています。要するに、2種類のデザインで2倍の効果を期待したのでしょうか。
ところが、日本国内での販売はオーソドックスなデザインのハードトップ(ARX)に集中、セダン(SSS&EEX)は丸っこくタレ尻のデザインが大不評を買ってしまい、ブルーバード全体の販売に悪影響を与えることに。さらに、ブルーバードといえば質実剛健なスポーツセダン(またはハードトップ)として支持を集めたクルマだったんですが、U13型はその面影すら一切なくなってしまいました。また、2種類のデザインにしたことで、ブルーバードのイメージがぼやけてしまった感も否めずでした。それと、この時期は同じニッサンのプリメーラがヒットしたこともあり、相対的にブルーバードの存在感が薄くなってたのも販売不振の原因のひとつだったでしょうか。
結果的に見れば、X2(バイツー)どころか2分の1になってしまったのは皮肉というほかないでしょう。
バブル期に開発されたクルマゆえ造りもよく、新しい機構を積極的に採用されたり、基本性能も悪くなかっただけに残念でありました。
それにしても、なんで好評だった前モデルを否定するようなモデルチェンジをしたのか、30年経った現在でも理解に苦しむところであります…。
なお、日本国内では大不評だったセダンですが、アルティマの名称で販売されてた北米では成功作だったようです。
ARX買う時に自分はプリメーラを推したのですが、乗り心地が固いという評判を聞いていた父にダメ出しされました。
これもいつの間にか懐かしいクルマの部類になってしまいましたねえ。といってもデビューから30年、生産終了から25年経過してるから無理もないですか。
セダンは記事本文にも書いたように、北米を向いたクルマになってしまったゆえ、国内ではまったくもって受け入れられずでした。当時でも奇抜でしたが、現在の目で見ても奇抜すぎの感は否めずでしょうか。
プリメーラは完全に欧州市場を照準を当てて開発されたクルマでしたが、日産の想定以上に日本国内で支持されました。乗り心地が硬いという欠点も指摘されましたが、長所も短所も含めて欧州仕込みのテイストが独自のャWションを築きあげました。しかし、2代目では初代のネガを消そうとした結果、皮肉なことにクルマの個性が弱まるという副作用も出てきました。理想的なクルマを作るというのは難しいようで…。