魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中で見苦しいところもありますが、ご容赦願います。

カンムリベラ

2023年02月14日 01時21分52秒 | 魚紹介

最近忙しくてぶろぐ更新ができていませんでした。

さて、今回は八丈島からやってきたスペシャルな魚のご紹介。スズキ目・ベラ亜目・ベラ科・カンムリベラ属のカンムリベラ。この個体は,Facebookを通して友人となった八丈島の高橋晃雄さんよりいただいたもの。ありがとうございました。また八丈島にお伺いしますのでその時はお相手お願いします。

 

カンムリベラは緑色(写真は黒っぽく見えるが)の体をしていて、大型個体はコブが出てくる。そのためアオブダイなどと間違えやすいが、アオブダイとは異なり歯が歯板を形成しないので見分けられる。

本種が含まれるカンムリベラ属の何種かは背鰭が若干伸びる。本種も背鰭の第1棘が長く伸びているが、幼魚や若い個体は伸びていない。

尾鰭はブルームテール、つまりホウキのような尾鰭となっている。この特徴でベラの仲間のほかの多くの種と見分けることができる。ただし若いうちはこの特徴が出てこないのである程度大きくならないと見分けられないだろう。

浅いサンゴ礁や岩礁域をウロつき、甲殻類などを食うので磯釣りで時々釣れることがある。メジナやイシダイ釣りで外道として釣れるという。こういう釣りではオキアミやヤドカリ、イセエビなどの甲殻類を餌に使うので、カンムリベラが釣れることがあるのだろう。

カンムリベラのお刺身。釣り人による評価は芳しいものではない。しかし今回刺身にしてみたら身の色が非常に美しい色合い。食べてみたが,これがなかなか美味しい。刺身醤油はあまり合わない。ぽん酢がよいが魚自身もうまみというものがある。

カンムリベラ属はインドー太平洋域、東大西洋、地中海に27種ほどが知られているが、東太平洋のアメリカ沿岸(ハワイやイースター島にはいる)や西大西洋には生息しない。このカンムリベラ属には何種か大型種が含まれ、オーストラリア近海に生息するCoris bulbifronsという種は1mにもなるらしい。この種は全身がグレーで派手ではないが、大きくなるとまさにコブダイのように頭部が盛り上がる。カンムリベラはそれよりは小さめであるがそれでも60cmにはなり、この個体も50cmを超えるものであった。1996年の3月に東京の葛西臨海水族園で見たのは80cmくらいあったように思うが大昔なので記憶は定かではない。このときは旧江戸川の向かいにある「ねずみの国」へ行く予定であったのだが、その入り口はあまりにも混みすぎて待ち時間が長くこちらの水族館へ行くことができたのだ。ラッキー。ちなみに弟には「●●●ー●●●(ねずみの名前)は風邪ひいて出られなくなっちゃったのよ」といって説得していた。

なおカンムリベラはあちこちの水族館で飼育されている。家庭水槽でその成魚を維持するのは困難であると思われるので、水族館で見て楽しむべき種かもしれない。幼魚は灰色の体で,大きな二つの橙色斑が目をひく。10cmほどくらいまでは残るが、そのあとは概ね灰色っぽい体と、頭部の斑点が目を引くようになる。

カンムリベラの若い個体。まだ頭部に斑点が残っている。背中の大きなオレンジ色の斑紋は消失している。

沖縄美ら海水族館で飼育されているカンムリベラの大型個体。50cmほどになるのではないだろうか。頭部が盛り上がり、特徴的なブルームテールもできてきている。本種の飼育については遊泳のためのスペースが必要になるのはもちろん、夜間に眠るための底砂を敷くことも必要になるため、いまの海水魚混泳水槽に多い、砂を敷かないベアタンクでは眠ることもできないだろう。やはりこの種は水族館で見るべき種類といえるのかもしれない。


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