魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

イトヒキアイトラギス

2017年10月21日 12時03分25秒 | 魚紹介

まだ四国一周旅行の件を書き終えていないのですが、今回は最近入手した珍しい深海魚を食べる話をしたいな、と思って。その名もイトヒキアイトラギスという魚。

イトヒキアイトラギスには「トラギス」という名がゴビー、いや、語尾についているのだが、トラギス科でもハゼ科でもなく、トラギス科に近縁とされるホカケトラギス科の魚である。頭部がぺちゃんこでコチの仲間のようにも見えるのだが、カサゴ亜目のコチ科の魚とことなり頭部に棘はない。

スズキ目・ワニギス亜目のホカケトラギス科はイバラトラギス属、ヒゲトラギス属、アイトラギス属など、日本には6属と学名未決定の種を含め14種が知られている。深海魚を食べた!というとみんな興味を持ってくれてありがたいのだが、このアイトラギスの仲間は深海魚の仲間ではかなりマイナーなものであり話題にもなりにくい。水深200~400mほどの深海底に生息する。

今回は大阪府の魚利水産さんで購入。ただし産地は宮崎県産という。検索図鑑では宮崎県の分布については触れられていないものの、熊野灘、土佐湾,東シナ海、小笠原諸島近海、海外ではオーストラリアからハワイ諸島までかなり広い範囲で見られる魚であり、宮崎県にいてもおかしくないだろう。

 

イトヒキアイトラギスの腹面

 

今回は5匹もやってきた。体の模様が微妙に違うものもおり、別種かと思われたがこれは雌雄のようである。雄は体に蛍光イエローの斑紋をもっている。おそらく深海でめだち、雌にアピールするときに使われるのだろう。また雄にの体側の縞模様は腹部にまで達するが雌にはそのような模様はなく腹面は真っ白である。さばいてみても腹面が真っ白なものは卵を持っていた。なおサムネイルの写真は雌である。

イトヒキアイトラギス尾部

イトヒキアイトラギスの尾部。雌(上)は尾鰭に大きな円形斑をもつのも特徴のようである。雄(下)の黒色斑は薄く目立たない。

イトヒキアイトラギスの背鰭

第1背鰭の第1棘は雌雄ともに長く伸びている。ハゼの仲間はシマヨシノボリのように雄の第一背鰭が長く伸びるのに対し雌では伸びないものがいる。しかしイトヒキアイトラギスでは雌雄関係なく伸びているらしい。ただ鰭の高さは雌雄でことなるように見える。

イトヒキアイトラギスの天ぷら

名前にトラ「ギス」とあるために、キスとトラギスは異なるグループであることをなんどか説明したにもかかわらず家族はキスみたいに天ぷらにして食べたいというリクエストがあったため天ぷらに。身は非常にやわらかくて美味しい。ただしやはり中骨あたりは骨が強くて食べにくい感じ。今回届いた5匹はすべて天ぷらにしてしまったが、刺身でも美味しいかもしれないとおもった。ほか、フライや唐揚げなどでも美味しいと思われる。卵は後日薄味の煮つけにして食べたがこれも美味しかった。ぜひともまた食したい魚である。


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