魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

サザナミヤッコ

2022年06月29日 22時11分54秒 | 魚紹介

最近は沖縄の魚をご紹介してきたが、今日は沖縄を離れ、鹿児島県の魚をご紹介。スズキ目・キンチャクダイ科・サザナミヤッコ属のサザナミヤッコ。もっとも、サザナミヤッコは鹿児島だけでなく沖縄にも多く分布している熱帯性海水魚である。

サザナミヤッコといえば、2007年に幼魚を採集したときにこのぶろぐでもご紹介したが、その時以来の登場となる。幼魚は青い体で白い細横帯が入るのだが、成魚になると全く異なる色彩になる、というのもよく知られている。成魚はオリーブ色の体に、青い斑点と青い鰓蓋がある。そして背鰭と臀鰭が後方によくのびているのも特徴だ。

なお、今回は背鰭のところが少しくぼんでいる。おそらく幼魚の時にイカか何かに襲われたのだろう。それが完治し、我が家の食卓にのぼることになったのだ。感慨深い。

サザナミヤッコのお刺身。色からも美味しそうな雰囲気が漂う。また脂も程よく乗っているように見えるかもしれない。実際には、味はかなりうまい。一方脂はノリがかなり強い。しかし養殖魚のような脂の感じではなく、美味しい。購入してよかったと思う。

なお私がサザナミヤッコを食するのはこれが初めて、ではない。2019年にも鹿児島産のサザナミヤッコを刺身で食している。この個体もかなり美味しかった。

キンチャクダイ科の大型個体は様々な方法で食される。タテジマキンチャクダイやロクセンヤッコも食したが、やはりサザナミヤッコは美味しい。臭みというのも全く感じられない(ニシキヤッコは若干臭みがあった)。沖縄では食用魚になっているが、「沖縄さかな図鑑」によれば「食用にはなるが、市場には出ない」との記述がある。そして同ページ「タテジマキンチャクダイ」の項目では「内臓の臭いは強いものの、身はおいしかった」との記述あり。この本の中で「市場価値がない」などと激しく貶されたベラ科魚類と比較すると破格の好待遇である。ただしやはり八重山の市場ではあまりあがらないのだろう。確かに、沖縄の市場と八重山の市場を比較すると、後者のほうが種類が少なかったような気がする。サザナミヤッコはインドー太平洋のサンゴ礁域に広く分布しているが海域ごとに色彩や模様に変異が見られる。オーストラリアやセイシェルのものを比較すると、少しずつ違っている。幼魚は九州以北の太平洋岸でよく見られ、関東にも出現するが、越冬することはできていないようだ。

英語名はKoran angelfish、もしくはSemicircular angelfishと呼ばれることが多い。前者はインド洋にも多く生息し、若魚の尾の模様がアラビア文字に見えたからともいわれる。一方後者もやはり幼魚~若魚の模様だろう。標準和名もおそらく幼魚の模様。Blue angelfishはその青みを帯びた色彩からきていると思われるが、一般的にBlue angelfishという名前で呼ばれるのは、カリブ海に生息するHolacanthus bermudensisという種のことをさすので、混同しないように注意が必要。

なお、今回の個体も、2019年のときの個体も、鹿児島市「田中水産」社長 田中積さんより。いつもありがとうございます!

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