魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中で見苦しいところもありますが、ご容赦願います。

アカヒメジ

2016年06月02日 23時51分06秒 | 魚紹介

ヒメジの仲間は俗に「オジサン」と呼ばれるが、種標準和名オジサンと混同されるおそれがあるので、オジサン以外のヒメジの仲間を「オジサン」と呼ぶのはやめたほうがよいと思う。ヒメジ科の魚は日本産魚類検索(第三版)によれば3属23種が知られているが、このほかに3種類が日本から知られており、計3属26種が知られる。さらにヒメジ属ではフィリピンなどから知られている種が日本から水中写真による記録があったり、ほかにもウミヒゴイ属魚類は分類学的再検討が行われているなど意外なほど研究が盛んにおこなわれているグループなのだ。

日本産ヒメジ科魚類はこの2種のほかにアカヒメジ属が知られている。鋤骨・口蓋骨に歯がなく、顎歯は小さい絨毛状。第2背鰭は鱗に覆われていない。側線鱗数は33以上であることなどで日本に生息するほかのヒメジの仲間と区別できる。日本産は3種。

代表的な種がこのアカヒメジ。海で見ると黄色っぽい体で、体側に1本の縦帯があるのが特徴のヒメジの仲間であるが、結構色を変える。釣りあげると写真のように赤く変わってしまうのだ。このように水中で見るものと、陸にあげたものでは色彩が大きくかわる、あるいは昼夜で色を変える魚は意外にも多い。ヒメジの仲間もそのような魚種が多い。

アカヒメジはインドー太平洋の熱帯域に広く分布しているが、日本では房総半島以南の太平洋岸、山口県日本海岸、琉球列島、小笠原諸島に分布しており、本州~九州の太平洋岸でもよく漁獲されている。上の写真の個体は高知県の防波堤で釣ったもの。このときはやや大きめの個体が防波堤の周囲を回遊していた。

こちらはアカヒメジの幼魚と思われる個体。体高がやや低めのものはモンツキアカヒメジと呼ばれる別種であることも多いが、このくらい小さいとアカヒメジでも体高が低いようだ。これは和歌山県串本の「潮崎商店」さんから送っていただいたもの。串本近海はダイバーにとっても、磯採集にとっても「聖地」であるといえる。なおモンツキアカヒメジとアカヒメジの見分け方はモンツキアカヒメジがやや体高が低い(体長の21-25%、アカヒメジでは26%以上)、モンツキアカヒメジの体側に暗色斑が出ることがある点など。モンツキアカヒメジは琉球列島以南に多いが高知県の宿毛などでも成魚が水揚げされたりしている。

アカヒメジ属の魚は世界で7種が知られている。その中である種は黄色い体に青色の縦線が数本入るという、まさしくヨスジフエダイに似たような模様を持つ種がいる。その種は実際にヨスジフエダイと群れをつくるようだ。アカヒメジは琉球列島では重要な食用種で、刺身や塩焼きにして食べられている。

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