魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中で見苦しいところもありますが、ご容赦願います。

フタイロハナスズキ

2024年07月15日 16時27分57秒 | 魚紹介

みなさんこんにちは。三連休はいかがでしたでしょうか。椎名さんは3連休は3連勤でした。

今回の長崎魚特集。最終回は大本命。入手した超希少種、スズキ目・ハタ科・ハナスズキ属のフタイロハナスズキ。

フラッシュ撮影したフタイロハナスズキ

フタイロハナスズキはハナスズキ属の稀種である。その特徴は体側で、体は赤いのだが、背中が黄色っぽくなる。その赤色と黄色の境界に暗色縦帯が入っているが、今回の個体では不明瞭であった。しかし同一個体をフラッシュ焚いて撮影したらうっすらと濃い赤色の縦帯が見られる。尾鰭基部には小さい赤褐色斑が入るのも特徴。このフタイロハナスズキによく似たものにトゲハナスズキという種がいるが、トゲハナスズキの尾鰭項後部背縁と腹縁は乳白色になることのほか、形態においてもフタイロハナスズキの背鰭軟条数は12であるのに対し、トゲハナスズキでは13~14(ふつう14)、臀鰭軟条数はフタイロハナスズキでは通常9とされるが、トゲハナスズキでは通常10~11であることにより区別できる。フタイロハナスズキは体長215mmになり、ハナスズキやゴマハナスズキと並んで大型種の範疇になるだろう。なお、ベニスズキは27cmにもなるというが、いつか出会ってみたい魚がまた増えたということでもある。

眼の上方は明瞭に黄色である。この点はフタイロハナスズキの写真が掲載されている「東シナ海・黄海の魚類誌」のものとちょっと違う雰囲気である。眼の上の黄色い部分と体の背部の黄色域が接するのだろう。フラッシュ焚いているからこのような色なのかもしれないが。

本種の含まれるハナスズキ属は、ハタ科旧ハタ亜科のなかでもとりわけ美しいものである。美しい色彩で観賞魚としても飼育されているが、コスジハナスズキなど浅場でも見られる種はともかく、深いところにすむものはいずれもかなり高額なお値段となってしまっている。それはそれなりの理由があり、深場に生息するため生かして持ち帰るのが困難なためである。よく「釣った後もしばらく生きているよ」という声も聞かれるのだが、瀕死の状態ではだめで、飼育するためには元気なまま船上から陸上へとあげなければならない。そのためには高価な器具と作法が必要になる。のであれば、高額なのも頷けるというものである。

このフタイロハナスズキが新種記載されたのは1999年とそんなに古くはない。しかしながらそれより古くから知られていた。伊豆海洋公園通信(IOP Diving News)の表紙を飾った写真は1970年代に伊豆半島で撮影されたものである。しかしながら当時はトゲハナスズキとされていた。真っ赤な体で背中が薄い黄色なのが特徴で、海中の写真では陸の写真とはどうも異なって見える。分布域は伊豆半島、愛媛県宇和海、八重山諸島、東シナ海に生息し、海外では台湾に生息する。2007年当時で数個体しか得られていない稀種とされていたが、東シナ海では漁獲されているので、今回は標本にせず、食してみることに。

フタイロハナスズキのお刺身。うまし。

皮をあぶったもの。最高である。

フタイロハナスズキのお刺身。ふつうのお刺身+皮目を少しあぶってみたのだが、これが非常に美味である。皮の下のうまみが凝縮されているのだ。もともと赤色が美しい魚だったので、刺身の色も美しい。これは刺身しょうゆよりもぽん酢がよく似合うものである。以前のトゲハナスズキは普通にお刺身で食したので皮を引いたのだが、なんとももったいないことをしていたものだ。このフタイロハナスズキは長崎県 マルホウ水産「魚喰民族」石田拓治さんより。いつもありがとうございます。

コメント
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