魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

キマダラヒメダイ

2017年12月06日 09時18分26秒 | 魚紹介

おはようございます。今日はもう12月6日。もう今年もあとひと月です。毎年年末は忙しいので書くことを忘れてしまう前に、この間食したスズキ目・フエダイ科・ヒメダイ属のキマダラヒメダイのことをご紹介。

キマダラヒメダイは今回初めて入手した深海性フエダイの仲間。深海性のフエダイというと、カタイ雰囲気ではあるが、実際にはなんということはない。ウメイロ、ハマダイ、オオグチイシチビキの仲間など、やや深い海に住むフエダイの仲間である。

ヒメダイの仲間は「アカマチ」などとよばれ高級魚となっているハマダイの仲間とは違って比較的安価である。日本では8種いるようだが、関東近辺でふつうに入手できる種類はヒメダイとオオヒメくらいのものである。

このキマダラヒメダイは実はかなり珍しい。これまでヒメダイを何10個体、何100個体とみてきたと思うが、このキマダラヒメダイは実物を見たことさえ今回が初めてなのだ。

ヒメダイ

キマダラヒメダイはヒメダイ属の中でも側線有孔鱗数が多い(70~74)グループに属している。同じように側線有孔鱗数が70を超える日本産種はほかにヒメダイのみが知られている。ヒメダイ属の標準和名にもなっているヒメダイは伊豆諸島、小笠原諸島、琉球列島に多く生息しているが、小型個体は神奈川県三崎以南の太平洋岸でも採集されている。海外では東アフリカ~ハワイに分布しているというが、衝撃的なことに、南東大西洋のベマ海山でも1個体だけ採集されている、とFishbaseにある。ヒメダイの学名はPristipomoides sieboldiiというが、この種小名はあのシーボルトに捧げられたものであるようだ。

ヒメダイの尾鰭

キマダラヒメダイの尾鰭

この2種を見分ける方法はいくつかある。まずは鋤骨歯帯の形である。ヒメダイの鋤骨歯帯は後方に伸びるのだが、キマダラヒメダイは三角形をしている。またヒメダイは舌上に歯があるのに対し、キマダラヒメダイにはそれがない。しかし、この2種を見分けるもっと簡単な方法がある。それが体の色彩だ。キマダラヒメダイの体にある黄色の「く」の字のような斑紋や尾鰭上葉が明瞭に黄色いという特徴は明らかにキマダラヒメダイとほかのヒメダイ属を区別することができる特徴だ。

 

食べてきたヒメダイ属

これまでも私は多くの方々のご厚意により日本産ヒメダイ属のうち6種を食べてきた。日本産8種のうち、まだ食したことがないのはナガサキフエダイとバラヒメダイである。この2種は側線有孔鱗数が48~52と、ほかの種(58~74)と比べると明らかに少ないタイプである。どちらも本州から九州ではあまり見ることはなく、基本的に琉球列島の産である。とくにバラヒメダイは沖縄諸島以南に生息するが数が少ない珍しいものである。この魚を見たらぜひともご一報宜しくお願いいたします。もちろん、名前の似ているバラフエダイは遠慮しておきたい。


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