魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

ヤマトシビレエイ改めツキミシビレエイ

2018年01月19日 11時37分17秒 | 魚紹介

以前このぶろぐで「ヤマトシビレエイ」という記事を書いた。ヤマトシビレエイはやや深場に生息するシビレエイの仲間。

しかしこの写真の個体はどうやらヤマトシビレエイとは別種であることがわかった。ヤマトシビレエイに近縁のツキミシビレエイTetronarce formosa (Haas and Ebert, 2006)のようである。ツキミシビレエイは学名種小名にformosaとあるように台湾産の個体をもとに新種記載された種で、台湾固有とされていたが、最近の論文で南日本の太平洋岸に広く分布していることがわかった。

ツキミシビレエイの尾

体盤が楕円形であること、背面が紫がかった暗色であること、尾鰭後縁が湾入しないことにより、それぞれ円形、黒褐色、湾入するヤマトシビレエイと見分けられる。その論文にはヤマトシビレエイの写真も掲載されていたが、確かに円形の体盤と、三日月状の尾鰭が独特である。

また分類タクソンの標準和名や一部学名も変更された。従来ヤマトシビレエイ属の属学名はTorpedoとされたが、従来はTorpedoの亜属であったTetronarceが属に昇格しており、ヤマトシビレエイ属の属標準和名がTetronarceがあてられる。ヤマトシビレエイ属の魚はヤマトシビレエイ、ツキミシビレエイのほか、ゴマフシビレエイの計3種が日本に分布する。世界では太平洋、東インド洋、大西洋に分布しおよそ12種が知られる。Torpedo属は東大西洋と西インド洋にのみ分布しており、計11種が知られている。

またシビレエイ目そのものの分類体系も変更されていて、魚類検索第三版では日本産シビレエイ目をすべて1科(シビレエイ科)にまとめていたが、タイワンシビレエイ科、シビレエイ科、ヤマトシビレエイ科の3科に分けられ、新しい標準和名がついた。タイワンシビレエイ科やヤマトシビレエイ科は確か「日本の海水魚」でもそうされていたが、今回の新しい論文により新称がつくまでは「勝手につけていた」ということなのだろうか。

文献

萬代あゆみ・松沼端樹・本村浩之.  2017.  日本初記録のヤマトシビレエイ科魚類ツキミシビレエイ (新称) Tetronarce formosaと本種の標徴に関する新知見, および近縁種との形態比較. 魚類学雑誌, 64:157-170.


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