魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

ユリウツボ

2024年10月08日 06時44分50秒 | 魚紹介

こんにちは。さいきんうちの会社の人が何かやらかしたらしく、今週は月・火だけでなく水・木もお休みの予定だったが水・木も仕事が入りちょっとブチ切れ気味の椎名さんです。今日も前回のハワイウツボと同様に、小笠原諸島産のウツボのご紹介。やはりハワイウツボと同様、長らく探し回ったがようやく手に入った!という種である、ウツボ科・ウツボ属のユリウツボ。

体は茶色で、体側には薄い黄土色斑があり、それは大きい。背鰭にも同じような斑点があり特徴的である。その斑紋はぼやけており、ハナビラウツボなどのように明るいという感じではない。また写真からは体側のしわの入り方もよく観察できる。

ユリウツボの顔。上・下顎には鋭い歯が並ぶウツボらしい特徴を持っている。コケウツボにも似ているが顎は湾曲しておらず、完全に閉じられる。鼻管も長くよく目立っている個体である。歯には鋸歯はなく、ミナミミゾレウツボやその辺とは区別しやすいだろう。伸びた鼻管は暗い海で餌をさがすのに役に立つに違いない。

本種によく似ているものに台湾から報告されたGymnothorax niphostigmusというウツボ科魚類がいるが、この種は臀鰭が白く縁どられることや体側の斑紋の形などにより、ユリウツボと見分けることができる。この種は近年日本からも記載されワタユキウツボという名前がつけられた。鹿児島や長崎などで水揚げされることもあるだろうから、よくチェックしないといけない。

ユリウツボ基本的に深場にすむウツボらしく、水深100m前後の岩礁域から、底曳網やつつなどで漁獲されている。しかし状態よく水揚げされることもあり、そのような個体は観賞魚としても流通されることがあり、水族館で飼育されていることもある。しかし高水温には弱いと思われ、低水温をキープしないと、満足に飼育することはできないだろう。

ユリウツボは学名がころころと変わりややこしい魚である。従来はGymnothorax mierozewskiiという学名や、Gymnothorax leucostigmaという学名が使用されてきた。しかしながら現在はGymnothorax prionodonという学名が使用されている。このG.prionodonはニューサウスウェールズをタイプ産地とするもので、南半球のものである。しかしオーストラリア産のものの見た目は典型的な日本産のユリウツボとは異なっているように思える。もっと詳しく調べてみたいところである。というかPrionodonって鋸状の歯、という意味なので日本のとは違うのかもとおもいきや、どうもオーストラリアミュージアムによれば誤りなのだとか。なおFishbaseのものは台湾産のものであり、これはおそらく日本のユリウツボと同種であろう。今回もハワイウツボと同様にHN「魚のげぼ」さんよりいただいたもの。いつもありがとうございます。

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