魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

飼育サイトについて

2023年12月11日 13時38分44秒 | 魚類とインターネット

さて、2023年12月11日である。この日は以前つとめていた会社を一方的に解雇されて3年となる。この会社をやめさせられただけでなく、3年間魚のサイトを作ってはならないという、法外な条件まで突きつけられたのだが、とりあえず解禁。ただしばらくは魚飼育サイトを立ち上げるヒマは無さそうだ。
最近はwordpressにより、誰もがサイトを作り運営することができるようになった。アクアリスト向けの情報サイトもさまざまなものが作られている。しかしその中には情報の信頼性に疑問符がつくものが非常に多い。
YMYL、つまり健康(医療情報をふくむ)や、ギャンブル、投資をはじめとした金融など、人生を直接的に左右する事柄についてはGoogleはしっかりチェックしているはず(DeNAパレットの問題があってから特に)。しかしアクアリウムは一般的にはYMYLとは関係ないとされている。とは言っても、アクアリウムはその飼育している生物の一生を背負っている。したがってこれも本来はYMYLにカテゴライズされるべきなのである。もっとも、これはアクアリウムだけでなく、犬猫だとか、小型哺乳類、爬虫類、鳥、両生類、昆虫などにも当てはまるものだが。

サンゴの飼育には専門的な知識が必要

しかし、最近は「小銭稼ぎ」のためだけにwordpressを使って、飼育していない生物の飼育情報サイトを作っているような輩もいる。そしてこのようなサイトの情報を信用するということほ生物をすぐに殺す危険が高い。さらに「死んだらまた買えばいいや」と、なにも考慮せずあたらしく生き物をまた買うという、消費的な飼育につながってしまう危険性もある。

インターネット黎明期から成長期までは、個人のアクアリストがウェブサイトを作っていた。そしてそのサイトには広告がほぼないか、あったとしてもサイトのサービスがつけているもの、無料でサイトを作れますがその代わり広告をつけてその広告費用分を使用料の代わりに徴収しますよー、というのが多かった。
しかしインターネット成熟期ともいえる現在はそのようなサイトはほとんどなくなり、ほぼ広告収入目当てのサイトばかりになってしまった。もちろんこれには2019年4月1日のYahoo!ジオシティーズのサービス終了など、外的要因もなくはないのだが。逆に考えると、広告収入目当てのサイトばかりで従来のようなサービスは利用者が減り廃れる一方だったのかも知れない。それもまた悲しい話ではある。
これからはインターネット衰退期になる、というわけではないだろうが、正確な飼育情報はインターネットで得ることが困難な時代になってしまった。ということで、インターネットにある飼育サイトが「本物か」、あるいは「偽物か」を見分けるコツを紹介したい。


●魚の画像

無断転載されまくったハゼ科のツムギハゼ

魚の画像については少し前にこのぶろぐでも取り上げてきたテーマである。まず魚の飼育法を紹介する記事に、写真の出典が表記されているのは「その魚を飼育していないのに記事を書いている」という可能性が高い。言い訳として、いい画像がなかったから〜というのはよくある話なのかもしれないが、平成ならともかく、令和の今、デジタルカメラやスマートフォンを持っていない人は少ないだろう。そしてペットならばスマフォにはその生物の写真が溢れてもおかしくないだろう。したがって出典のある画像がほとんど、であるならばその種類を飼育しているわけではない、ということになる。
魚画像の出典がなくても、大手ペットショップのチャームの写真はほぼフリー素材のように使われており、見破るのは難しくはなさそうである。また海水魚やサンゴであればアクアギフトという店の写真も使用されていることが多い。これらのほか、インスタグラムのリンクばかりというサイトも注意が必要。これについては以前も書いた。

●解説

ミスジリュウキュウスズメダイ。この属の魚はいずれも海水魚店で見られるが種により性格は大きく異なる

解説は飼育していないのに飼育情報を書いているサイトでは上手く書きようがないので、当然ながら、どこからかのサイトからパクることになる。そのため、どこかでみた文章を少し変えたような飼育情報ばかりになってしまう。複数種の魚についてほとんど同じ内容で、種名だけ変えたような解説文を掲載しているサイトもある。また、特に以下のワードに気をつけるべきであろう。他にも色々ある。

塩分濃度…塩分は塩の濃度という意味であり誤用である。また、比重との混同による誤用も多く見受けられる。

別名…とくにアクアリストには横文字を好んで使う傾向がある。そのため、日本に住む種でも横文字が多く使用されている。例として、オーネイトエンゼル(フカミヤッコ)、スカンクシュリンプ(アカシマシラヒゲエビ)など。これら括弧内の標準和名は別名として扱われることもアクアリストの飼育サイトでは多いが、標準和名が概ね「正しい名前」として使われる事が多い昨今、横文字名前のほうが別名とされるべきであろう。

リュウキュウスズメダイ…ミスジリュウキュウスズメダイ属のうち、フタスジリュウキュウスズメダイ、ミスジリュウキュウスズメダイ、ヨスジリュウキュウスズメダイの3種をまとめたもの。この3種は飼い方が同じ、と紹介されているサイトも多いが、性格などにやや違いがある。


●AIを使ったサイト
近年はAIがブームとなっており、ほぼすべての経済活動にAIとのお付き合いは不可避となりつつある。しかしながらこのAIによる経済活動に歯止めが利かないことが危惧されるようになり、最近になって「岸田総理フェイク動画」などの登場もあり、AIを使った創作活動にある程度の規制をもとめる声も上がるなどしている。

そして、アクアリウム(というか、ペット系)にもAIを使用したサイトが登場した。とあるサイトでは、文面からも簡単にわかるようにほぼすべてがAIでできているサイトである。また、筆者とされている人物の顔も、またAIによるものである。それでもまだ中身がしっかりしているならば問題はないのだが、肉食魚のスネークヘッドやシルバーアロワナが、植物質の餌を好んで食べる、とか、滅茶苦茶なものばかり。広告は一見ないように見えるが、ペット関係の資格へのリンクが巧妙に隠されたものになっていて、いわゆる「ステマ」である。
ただ、魚や生き物の写真はAIでは作れなかったらしく、どこかのサイトから拾ってきて「画像の出典」と言ってそのサイトへのリンクを貼り付けただけというどうしようもないシロモノである。しかしこれを逆に考えると、まだしばらくはAIは本物に勝つことはできないということでもある。AIの画像は幸いにも、まだどこか欠点を残している。文章もめちゃくちゃであり、まだまだヒトの力の方がAIを上回るものだと考えられる。


●持続可能な飼育サイトとは

昨今はその経済活動の持続可能性が大きなテーマとなっている。この「アクアリウム飼育方法サイト」について持続可能なものかどうかは、ズバリ「その情報は正しいか」ということにある。つまり飼いたい魚がいる→飼育方法サイトの情報を参考にして飼育するが、結局うまくいかなかず死んでしまった→また購入する→また死なせてしまう...というサイクルを繰り返すようでは、ただの消費飼育であり、需要により発生する度を過ぎた捕獲などにつながる危険性があるし、間違った情報が流布されるのはよくない。したがって、生物飼育情報はしっかりした方法で手に入れなければならない。それはペットショップや実際に飼育している人とのお付き合いになってくる。昔はペットショップで、あるいはオフ会で、いまではSNSなどでのお付き合いが中心となっているが、そのほうが飼育サイトよりも多くの情報を得ることができる。特に両・爬虫類は飼育情報サイト検索してもろくに正しい情報を得ることができず難儀するが、Facebookのコミュニティなどではまだ正しい情報を得ることができるだろう。もちろん雑誌など「旧媒体」の復活もあり得るだろう。

私としてはもし飼育サイトをつくるのであれば、情報の選定、サイトの構築と構成、カテゴリの作成などイチからやり直したいと思う。しっかりしたサイトが一つできれば、ほかの飼育方法サイトを駆逐でき、多くのアクアリストが納得するような、充実した中身のサイトをつくることができるのではないかと考えている。

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